保存整備
整備の計画
整備の計画
名古屋城は、多くの重要文化財や名勝二之丸庭園、天然記念物のカヤなどを有し、国宝と同格とされる特別史跡に指定されています。これらの貴重な文化財を後世に伝えるとともに、さらに魅力を高めるために、特別史跡名古屋城跡保存活用計画に基づき、さまざまな整備・修復を進めています。あわせて、当該計画と連携し名古屋城観光を支える周辺整備として、金シャチ横丁構想を推進しています。
特別史跡名古屋城跡保存活用計画
特別史跡名古屋城跡の本質的価値と構成要素を整理し明示するとともに、史跡を良好な状態で後世に確実に継承し、その価値を正確に伝え魅力の向上を図るため、2018年(平成30)に策定公表しました。
金シャチ横丁基本構想
本丸御殿の復元を契機に、増加が期待される来城者に対するおもてなし機能の充実を図るとともに、名古屋城周辺に新たな交流とにぎわいの場を創出し、国内外からのより一層の観光客誘致を図ることを目的として、2013年(平成25)に金シャチ横丁基本構想を策定しました。
本丸御殿の整備
戦災で失われた本丸御殿を、詳細な史資料のもと、史実に忠実に復元を進めてきました。3期に分けて公開する計画で2009年(平成21)に工事に着手し、2018年(平成30)、上洛殿の完成をもって第3期公開を果たしました。併せて障壁画1,325面の復元模写を1992年(平成4)から進めており、本丸御殿全体の復元完了を目指しています。
名勝二之丸庭園の保存整備
国の名勝に指定されている二之丸庭園は、時代とともに育んできた庭園文化を伝える場です。尾張の庭園文化を象徴する庭園を現代に再生し、継承していくため、計画に基づき、順次保存整備を進めています。
また、江戸期に二之丸庭園に建てられていた四畳半の御茶屋「余芳」[名古屋市指定文化財(建造物)] については、明治初めに陸軍が売却し、個人所有になった後、2011年(平成23)に名古屋市へ寄贈していただいたことから、元の位置への再建に取り組んでいます。
石垣の修復整備
崩壊した箇所や外側にふくらんだ部分について、1970年(昭和45)より継続的に修復しており、現在は本丸搦手馬出(ほんまるからめてうまだし)周辺の石垣を修復しています。搦手(からめて)は大手(表門)に対する裏門を指し、馬出(うまだし)とは出撃のために騎馬や兵士を揃えるための場所であったと考えられています。石垣を積み上げる伝統技術やふくらみの原因解明のため、調査も並行して行っています。
展示収蔵施設の整備
西之丸北部に、江戸時代にあった米蔵の外観を再現した展示収蔵施設を整備し、2021年(令和3)に西の丸御蔵城宝館として開館しました。今後は重要文化財である1,047面の本丸御殿障壁画などを保存・公開していくとともに、地下遺構の平面表示などかつての御蔵構全体の空間を感じられるような外構整備に取り組んでいきます。
名古屋城のカヤの保護育成
天然記念物のカヤの木は樹齢600年以上。戦災をくぐりぬけ、長く名古屋城を見守ってきましたが、樹勢が衰えてきたため保護育成に取り組んでいます。
重要文化財表二之門の大規模修理
築城期から現存しており、重要文化財に指定されています。しかし門及び附属土塀の劣化が進行しており大規模修理を目指した調査検討を進めています。現在は修理に先駆け、門裏にかつて存在したと考えられている雁木について各種調査を実施しています。
重要文化財旧本丸御殿障壁画の保存修理
狩野派の絵師により描かれた重要文化財の障壁画1,047面については、絵の具の剥落や傷みの修理を1986年(昭和61)より継続して行っています。
二之丸地区の基本調査
愛知県体育館が設置されている二之丸南部地区では、将来的な愛知県体育館の移転を見据え、かつての二之丸御殿や向屋敷を偲ぶことができるような、特別史跡にふさわしい空間とするため、整備構想の策定を視野に入れた史資料調査や試掘調査に取組んでいます。
金シャチ横丁構想の推進
2013年(平成25)に策定した金シャチ横丁基本構想に基づき、実現可能なところから順次整備を進めています。2018年(平成30)に飲食施設を中心とした第1期事業が開業し、現在は多目的施設や展示施設などの第2期整備に向けた調査検討に取り組んでいます。