保存整備 / 本丸御殿の復元
史料(史実に忠実な復元)
史実に忠実な復元を支える史料
本丸御殿は日本を代表する書院造の建造物で、総面積約3,000平方メートル、高さ約12.7メートル、30を超える部屋がありました。室内は、虎や豹、花鳥風月などを描いた障壁画や飾金具などで豪華絢爛に飾られ、建築・絵画・工芸史においても高く評価されていました。
残念ながら、御殿そのものは戦災により失われましたが、幸いなことに襖絵・天井板絵など1,049面(うち重要文化財1,047面)もの障壁画は、戦時中に取り外されて大切に保管されてきました。また、江戸時代の藩士が記録した詳細な図面や、明治から昭和にかけての多くの写真、実測図など、第一級の史料が数多く残されています。これらをもとにして史実に忠実な復元が可能となりました。
歴史的文化遺産である城郭の史料がこれほど多く残されている例は、全国的にもほとんどありません。しかも、その記録は微細にわたり、江戸から昭和の長期間におよんでいます。なぜ本丸御殿が正確に復元できたのか、その理由がわかる貴重な史料の一部を紹介します。