お城note

名古屋城でモーニングを。和傘とともにともに、夏の朝さんぽ

名古屋といえば、名古屋城。
でも、どこをみればよいのか、地元民でもちょっと悩んでしまうことが多いのでは?
そこで王道のおさんぽコースをはじめ、城内で唯一の茶亭でのモーニング、さらに、夏のおもてなし情報をお届けします。

名古屋城のきほん

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「名古屋城」は、400年以上も前、徳川家康が天下統一の最後の布石として、大坂の豊臣方へ対抗するべく、築いたお城です。

名古屋城の天守閣といえば金の鯱で知られ、その輝きは東海道や美濃路にも届いていたと言われます。今でも、名古屋といえば、金のシャチホコというほど、シンボル的な存在ですよね。

2018年には、藩主が暮らした「本丸御殿」が古写真や実測図など貴重な史料をもとに正確に復元され、絢爛豪華な世界が蘇って、注目を集めています!

いざ、出発!

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今回、名古屋城を浴衣でおさんぽいただくのは「第34回有松絞りまつり」のミス絞り高澤怜那さん。約100種類のくくり技法がある有松・鳴海絞り。今回は、カラフルな板締め絞りの浴衣を着て出かけました。

名古屋城には、ふたつの入口があります。
もっとも有名なのは、城内の西端にあり、天守閣と本丸御殿へと行きやすい「正門」。こちらは最寄駅の市役所駅前からも浅間町駅からも10分ほどで到着します。

もうひとつは、東端にある「東門」。
こちらは市役所駅から徒歩5分ほどで、藩主が居住した御殿の庭園としては日本一の規模となる「名勝二之丸庭園」へのアクセスが便利です。

正門から東門までの距離は約800メートルあり、歩いて10~15分ほどのお時間がかかるので、待ち合わせには気をつけてくださいね。

城内で唯一。茶亭でいただく「金シャチモーニング」

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名古屋城のオープンは、午前9時。
ぜひ訪れたい先が、東門の近くの「二之丸茶亭」です。昭和44(1969)年に開所した茶亭で、中へ入ると、中央に金の茶釜が鎮座しています。

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なんでも、こちらは1945年の空襲で天守とともに焼け落ちた金鯱の燃えがらから作られた茶釜の複製版。丸八印は、尾張徳川家にも由来していて、現在は、名古屋市の市章にもなっています。

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こちらは「金シャチモーニング」(600円)です。抹茶のほかコーヒー、オレンジジュースの中からひとつドリンクを選ぶと、セットがつきます。

午前9時から11時まで数量限定で、城内で唯一のモーニングが食べられます。
令和2(2020)年から始まった「金シャチモーニング」は、抹茶と金箔ホイップ付きオリジナル金シャチ小倉トースト。

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パンは、創業以来60年以上名古屋の喫茶店に愛される「本間製パン」。パンの上には抹茶パウダーで、徳川家の家紋がさりげなく。
お抹茶は名古屋の老舗茶屋で、大正5年創業の「妙香園」のもの。お茶そのものにふくよかな甘みとうまみがあります。

茶器は、かつて尾張徳川家の御用釜が置かれた瀬戸市赤津地区で焼かれた、御深井焼や黄瀬戸焼を使用しています。

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朝からお抹茶でモーニングとは、ありそうでなかったメニューで、名古屋観光はもちろん、贅沢な気分を味わえますね。
モーニング以外の注文の場合、奥座敷もご利用いただけるそうなので、ご利用してみてくださいね。

窓の外には、昭和28(1953)年に愛知県下で初の国の名勝に指定された大名庭園「二之丸庭園」が広がります。

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その面積は約3万㎡と広大で、藩主が居住した御殿の庭園としては日本一の規模。元和6(1620)年頃、初代藩主・徳川義直によって儒教思想の影響を受けて整備された庭園で、名園として高く評価されています。

巨岩や奇岩怪石を配置して、神秘的で個性的な空間をつくりあげるのが特徴で、日本庭園の落ち着いた雰囲気とはまた違って、ダイナミックな世界観が新鮮です。現在、修復整備中で、どう完成するのか楽しみです。

水音を楽しむ「水琴窟」

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最後に、もうひとつ「二の丸茶亭」で、体験していただきたいものが、茶室の入口にある、水音を楽しめる「水琴窟(すいきんくつ)」。

茶室に入る前に、お清めのために手を洗う場所があり、その水滴が地中に埋めたかめに共鳴し、音を楽しむのです。日本庭園文化における最高技法のひとつといわれています 。
英語ではWater harpと呼ばれ、透明感のある水音は時がとまったような優雅な時間を感じられます。

名古屋城のあるき方

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おさんぽコースでもっとも王道なのは、城内の中心部にあり、天守閣がある「本丸エリア」をぐるりとまわること。
近世城郭御殿の最高傑作とうたわれた「本丸御殿」はぜったいに見ておきたいですね!

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通好みなポイントといえば、石垣の刻印です。

石垣普請は西国などの豊臣系大名20名に割り当てられ、よく見ると、他大名の石と区別するために刻んだ目印がついているので、よ〜くご覧ください。

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また、名古屋城で最大の石垣石材は「清正石」と呼ばれ、築城や領地統治などに手腕を発揮した加藤清正の名前がつけられています。
400年も前に、一体どうやって運んだのかふしぎな、その大きさを体感できますよ。

ゆったり、涼しく過ごす「夏のおもてなし」。

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令和2(2020)年8月1日(土)~16日(日)の16日間、「名古屋城 夏のおもてなし」が開催されました。

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正門の入口では、岐阜の美濃和紙でつくられた「和傘」や愛知の有松鳴海絞りの「日傘」、さらに涼しげな「水うちわ」や「名古屋扇子」の無料レンタルコーナーがあり、ご来場のみなさんの多くが手にとり、ご利用くださいました。

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浴衣で来場される方もみえて、和傘がとってもお似合いでした。
名古屋城の景観にもマッチして、つくづく日本の伝統文化は美しいなあ、と感じさせられます。

ちいさく、「えんにち」も

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射的、金魚すくい、輪投げなど、ソーシャルディスタンスを保ちつつ楽しめるように設計した「えんにち」も。名古屋提灯や七宝焼き、やきものに駄菓子の詰め合わせなどなど、名古屋にちなんだ景品が並び、お子さんだけではなく、大人の方にも興味を持っていただきました。

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「えんにち」の向かいには、昨年に引き続き「鯱食堂」も登場!
キンキンに冷えたビールやかき氷、水ようかん、本わらび餅など、夏の定番メニューをいろいろご用意しました。

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「名古屋城 夏のおもてなし」は、いったん終わり。
暑い日がまだまだ続きますが、日本の夏、名古屋の夏をたっぷり感じられる、名古屋城の朝をお楽しみくださいね。

Text:Miku Kamiura Photo:Nanako Kawai Model:Rena Takazawa Stylist:Yoshie Buma

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「二の丸茶亭」では「金箔抹茶(お菓子付)」(700円)もいただけます。菓子は名古屋の茶の湯文化を支える、ふたつの銘店。文久2(1862)年創業の「御菓子所 松河屋老舗」と、名古屋のお茶人に愛される銘店「御菓子司川村屋」。月替わりで登場するので、味の違いを楽しんでくださいね。