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名古屋城3Dスキャン特別ガイドツアー

2025年11月23日

名古屋城3Dスキャン特別ガイドツアーの画像

【イベント当日資料はこちら】
 当日配布資料
 3Dスキャンの手順

 名古屋城スキャンマップ 

 名古屋城調査研究センターでは、市民の方に3D技術を用いた最新の調査研究成果を知っていただくことを目的として、エスパシオ ナゴヤキャッスルと名古屋城を会場に、下記のとおりイベントを開催いたします。

【開催日時】
令和7年11月23日(日)午前10時~午後4時30分(午前9時30分開場)
※本事業は本丸外の無料化実証実験の期間内(11/1~11/30)に実施します。

【当日プログラム】
(1)タイムスケジュール
10:00~10:20 開会挨拶・趣旨説明
 ①開会挨拶/広沢 一郎(名古屋市長)ほか
 ②趣旨説明/瀬川 貴文(名古屋城調査研究センター)
10:20~11:35 名古屋城3D調査研究の発表・ワークショップ
 名古屋城で取り組んでいる3D技術を活用した調査研究成果を発表します。その後、3Dスキャンのワークショップでやり方やコツを身につけましょう。
 ③未来へ残す名古屋城-3Dでのぞく最新調査-/大村 陸(名古屋城調査研究センター)
 ④スマホで3D!Scaniverseを使ってみよう/白石 淳二(ナイアンティックスペーシャル株式会社)
 ⑤スマホで3Dスキャンを体験してみよう!/岩間 輝(モバイルスキャン協会)
13:00~15:00 特別ガイドツアー・3Dスキャン体験
 各コースに分かれて名古屋城で特別ガイドツアーを行います。ツアー前後は名古屋城を自由に3Dスキャンしてみましょう。
15:20~16:20 スキャン体験の振り返り・3D活用方法の紹介
 みんなでスキャンした3Dモデルを学芸員と一緒に振り返りましょう。その後、3Dスキャンの活用方法をご紹介します。
 ⑥モバイルスキャンの活用方法/桑山 優樹(株式会社桑山瓦)
 ⑦文化財での3D活用事例/野口 淳(公立小松大学次世代考古学研究センター)
16:20~16:30 閉会挨拶
 
⑧閉会挨拶/渡辺 孝彦(名古屋城総合事務所長)

(2)特別ガイドツアー
 名古屋城調査研究センターの学芸員が普段入ることのできない非公開エリア等をご案内します。応募時に以下の5つのコースから参加したいコースを第3希望まで選択してください。各コースの参加者を前半と後半の2部に分けてガイドします。なお、前半と後半の振り分けは指定できません。複数人での申込みの場合、別々のコースには参加できません。
<コース一覧>
①本丸石垣じっくり解説ツアー(要本丸観覧料)
 本丸内の石垣を巡りながら、普段見られない小天守石垣の刻銘をはじめとして、様々な石垣の見どころをじっくり解説します。
②外からみる本丸御殿ツアー(要本丸観覧料)
 江戸時代の姿を復元した本丸御殿は建物の細部まで再現されています。本丸御殿の外側をぐるっと巡り、非公開となっている湯殿書院の裏側なども含めてガイドします。
③重要文化財建造物まるごと体感ツアー(要本丸観覧料) 
 名古屋城の本丸には江戸時代から現存する東南隅櫓・西南隅櫓・表二之門があります。これらの魅力を解説するとともに、西南隅櫓には建物内部へご案内します。
④御深井丸茶席となぞの石造物ツアー
 戦後、名古屋城天守閣よりも先に整備された御深井丸茶席。茶席の中には寄贈された多くの石造物が置かれています。こだわりの茶席と謎多き石造物たちをガイドします。
⑤名勝名古屋城二之丸庭園お庭探索ツアー
 江戸時代には二之丸御殿の裏庭だった二之丸庭園は、近年発掘調査と整備が進んでいます。庭園内を巡りながら最新の成果を解説し、南池の中にもご案内します。

(3)体験展示
 会場内では協力企業による3DやXRに関連した各種展示を体験することができます。体験展示は休憩時間や午後の空き時間に自由に体験していただけます。
①「遠隔臨場ツールXRegionによる名古屋城メタバース視察など」(株式会社桑山瓦)
 XRegionは、現場と離れていてもVRでお互いに見ている景色を共有しながら、音声や仮想落書きなどで円滑な意思疎通を可能にします。会場と名古屋城東南隅櫓を接続し、遠隔で視察することができます(13時~14時)。
②「名古屋城東南隅櫓の3D計測など」(MHIエアロテクノロジーズ株式会社)
 名古屋城調査研究センターとの共同研究として、名古屋城東南隅櫓の3D計測を行いました。作成した東南隅櫓の3Dモデルなどを展示します。
③「名古屋城天守閣3Dモデル・紙面連動ARなど」(読売新聞)
 読売新聞オンラインではドローン撮影により作成した名古屋城天守閣3Dモデルなど多くのモデルを公開しています。ARで昔の新聞紙面を見ることができるコンテンツも展示します。
④「VRで体験する名古屋城」(DeoVR・キヤノン株式会社)
 DeoVRは、世界中のクリエイターが毎日新しい作品を公開するVR動画プラットフォームです。本展示では、キヤノン EOS VR SYSTEMで撮影した名古屋城の8K映像をご紹介します。普段は目にすることのできない発掘作業の現場や、お堀の底から見上げる名古屋城など、貴重な視点からの映像をVRで体験できます。これらの特別なコンテンツをDeoVRを通じて展示します。
⑤「空間DX基盤SpatialGridderでみる名古屋城3Dなど」(イクスアール株式会社)
 SpatialGridderは現実空間に見えないモノを拡張する空間DXの基盤コンテンツです。名古屋城の様々な3DモデルをMR(複合現実)で見ることができます。

【その他】
(1)会 場:名古屋城、エスパシオ ナゴヤキャッスル 天守の間
(2)定 員:500名程度(事前申込制)
(3)参加費:無料(本丸エリアの観覧のみ別途観覧料500円が必要となります)
(4)申込方法:名古屋市電子申請サービスより申込み
      (https://ttzk.graffer.jp/city-nagoya/smart-apply/apply-procedure-alias/3dscanguide
      令和7年10月1日より募集開始(締切:10月24日まで)
      ※応募者多数の場合は抽選となります。
(5)注意事項:本イベントでは3Dスキャンアプリ「Scaniverse(スキャニバース)」(無料)を使用します。
      あらかじめご自身のスマートフォンにアプリをダウンロードし、イベントへご参加ください。
      (スマートフォンは家族で1台でも可)

【イベントチラシ①はこちら】
【イベントチラシ②はこちら】

【お問い合わせ先】
名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所 名古屋城調査研究センター
Tel:052ー231ー2481 Fax:052ー218ー5335v

2025年11月23日、「名古屋城3Dスキャン特別ガイドツアー」が、エスパシオ ナゴヤキャッスル 天守の間・名古屋城で開催されました。イベントには800名以上の応募があり、抽選を経て、当日は約500名が参加しました。【当日配布資料はこちら】

イベントの目的は、名古屋城の調査研究成果を市民の皆様に知っていただき、3Dスキャン体験を通して名古屋城の文化財に触れていただくとともに、名古屋城の様々な文化財を3Dアーカイブとして記録・公開することでした。イベント前半で名古屋城の3Dを用いた調査研究やスマホアプリを使った3Dスキャンについて学び、後半に学芸員による特別ガイドツアーとスキャン体験などを行いました。

イベントは10時に開始し、まずは開会挨拶として、名古屋市長の広沢一郎、エスパシオ ナゴヤキャッスル副総支配人の成田和巳様にご登壇いただきました。広沢市長からはイベント関係者への感謝と名古屋城という貴重な歴史資源を活用した魅力づくりに繋がる本イベントの意義などをお話ししました。また、イベントに際し、名古屋城総合事務所とエスパシオ ナゴヤキャッスルが協力して作成した動画を放映し、成田副総支配人からは10月に新たにオープンしたエスパシオ ナゴヤキャッスルの魅力などをお話しいただきました。

次に、司会を務める名古屋城調査研究センター副所長の瀬川貴文より趣旨説明を行いました。本イベントには多くの応募があったこと、名古屋城調査研究センターでは考古学や文化財の分野で従来の研究手法に加えて3D技術を活用していることなどをお話ししました。

その後、名古屋城調査研究センター学芸員の大村陸が、「未来へ残す名古屋城-3Dでのぞく最新調査-」の発表を行いました。はじめに3Dスキャンの目的や技術、手法について解説しました。また、名古屋城での3Dスキャン事例として、石垣調査や発掘調査などでの3Dモデル活用があり、研究への利用では、形状強調による加工痕の可視化やAIを活用した新たな石垣の分析手法「石垣BIM」などを紹介し、3Dの発展性についてお話しました。

続いて、ナイアンティックスペーシャル株式会社の白石淳二様、モバイルスキャン協会の岩間輝様による、「スマホで3D!Scaniverseを使ってみよう&体験してみよう」の発表がありました。白石様は、本イベントで使用するスマートフォンアプリの「Scaniverse」を紹介し、思い出・もの・場所を記録するのに優れており、様々な機能で多様な業種・場面で活用されていると語りました。岩間様からは、3Dスキャンは安全第一で行うことなど注意すべき点をお話しいただき、3Dスキャンを実演しながらどのようにスキャンを行うと良いかの解説があり、3Dスキャンの手順・コツを学びました。

発表後、司会より午後のプログラムの注意事項を説明し、お昼休憩となりました。会場では協力会社による体験展示を5ブース出展していただき、多くの参加者の皆様に名古屋城に関連する3D・XRコンテンツを実際に体験していただきました。

1. 「遠隔臨場ツールXRegionによる名古屋城メタバース視察など」(株式会社桑山瓦)
2. 「名古屋城東南隅櫓の3D計測など」(MHIエアロテクノロジーズ株式会社)
3. 「名古屋城天守閣3Dモデル・紙面連動ARなど」(読売新聞)
4. 「VRで体験する名古屋城」(DeoVR・キヤノン株式会社)
5. 「空間DX基盤SpatialGridderでみる名古屋城3Dなど」(イクスアール株式会社)

午後からは会場を名古屋城へ移し、5コース・前半後半に分かれて1グループ50名で学芸員による特別ガイドツアー・3Dスキャン体験を行いました。まず学芸員による特別ガイドツアーを30分程度行い、スタッフが3Dスキャンのやり方を実演した後、参加者の皆様に3Dスキャンを自由に体験する時間を30分程度設けました。ツアー体験の解説は、職員に加えて、3Dスキャンに習熟した有志の方々に技術サポートスタッフとしてご協力いただきました。天気にも恵まれ、どの参加者の皆様も普段入れない非公開エリアでのツアー解説と3Dスキャンを楽しまれていました。

また、ツアー体験を前半後半の組で分けたため、ツアー体験に参加していない1時間は自由時間としました。参加者の皆様は、城内を散策したり、会場で体験展示を見たり、ツアーコース外を自由にスキャンしたり、各々の過ごし方で名古屋城を満喫していらっしゃいました。


そして、ツアー体験の後はエスパシオ ナゴヤキャッスルに戻り、3Dスキャン体験の振り返りを行いました。各ツアーコースで巡った場所を順番に振り返り、参加者全員に自分の参加できなかったコースの内容も知っていただきました。また、各ツアーコースの参加者が作成しマップへ投稿した3Dモデルを会場の全員で鑑賞し、学芸員からここがどこの場所でどの部分が面白いのか、岩間様や白石様からどうすればもっと綺麗な3Dモデルが作れるかのアドバイスなどをコメントしていただきました。

振り返りの後は、株式会社桑山瓦の桑山優樹様から「普段使いのモバイルスキャン」をご発表いただきました。桑山様からは、日常生活での3Dスキャン活用方法の解説などがありました。3Dスキャンした自宅をスマホで持ち歩くと、家具を選ぶときに参考になったり、寸法を測れたりして役に立つと、実演も行いながらで分かりやすく教えていただきました。

続いて、公立小松大学次世代考古学研究センターの野口淳様より、「文化財でのスキャン活用事例」をご発表いただきました。野口様は、文化財の3D化と計測機器・技術の変遷をたどり、今では誰もが文化財を気軽に3Dスキャンできる時代になったと語ります。そこから子ども向けのワークショップを進め、参加体験によって学びが変わった事例などをご紹介いただきました。こうした動きは海外にも広がっており、「3Dは言葉を超える」と締めくくられました。

最後に閉会挨拶として、主催者を代表して名古屋城総合事務所長渡辺孝彦が登壇しました。名古屋城での3Dスキャン体験を通じて、名古屋城の新たな魅力を共有できたと振り返りつつ、今後も名古屋城と3Dスキャンを楽しんでほしいとお話しし、イベントは16時30分に終了となりました。

長時間にわたったイベントは、参加者の皆様が安全第一で3Dスキャンを楽しんでいただけたおかげで、事故なく終えることができました。結果として、市民500名が集まり名古屋城という文化財を3Dスキャンする、世界でも例を見ない最大規模の3Dスキャンイベントになりました(名古屋城調べによる)。また、Scaniverseのマップに投稿された3Dスキャンのアーカイブ数もイベントによって大きく増加しました。これまで専門家だけで行っていた3Dスキャンが誰でも出来るようになり、こうして市民の皆様と一緒に記録・活用する「オープンな取り組み」を開催することができました。

イベントに参加してくださった皆様、分かりやすく熱意ある発表をしてくださった登壇者の皆様、3Dスキャン体験を手厚くサポートしてくださった協力者の皆様、そして面白い体験展示で会場を盛り上げてくださった協力会社の皆様には重ねてお礼を申し上げます。

名古屋城調査研究センターでは、今後も3Dスキャンを始め、様々な手法を用いて文化財や資料等に関する学術的・総合的な調査研究を進めていきます。名古屋城の魅力を国内だけでなく世界に発信していけるように今回のような取り組みを続けていきたいと思います。

■名古屋城3Dスキャン特別ガイドツアー

■プログラム
10:00-10:10 開会挨拶
10:10-10:20 趣旨説明
10:20-10:45 「未来へ残す名古屋城-3Dでのぞく最新調査-」
10:45-11:20 「スマホで 3D!Scaniverseを使ってみよう&体験してみよう」
11:20-11:35 注意事項説明
13:00-15:00 特別ガイドツアー・3Dスキャン体験(名古屋城)
15:20-15:50 3Dスキャン体験の振り返り
15:50-16:05 「普段使いのモバイルスキャン」
16:05-16:20 「文化財でのスキャン活用事例」
16:20-16:30 閉会挨拶


イベントで3Dスキャンを体験したけど手順を忘れてしまったという方は「3Dスキャンの手順」をご覧ください。
【3Dスキャンの手順はこちら】
名古屋城にはまだまだ3Dスキャンする場所があります。ぜひまた名古屋城に来て3Dスキャンしてみてください!
【名古屋城スキャンマップはこちら】
(作成者:名古屋城調査研究センター 大村陸)