催し
西の丸御蔵城宝館企画展西の丸御蔵城宝館展示「名古屋城本丸御殿の障壁画」 Ⅰ期「将軍を迎える」
2025年10月03日 ~ 2025年11月30日

趣旨
令和7年度下半期を下記のように4期に分け、名古屋城総合事務所が所蔵する本丸御殿の障壁画とそれに関連する資料を紹介します。
Ⅰ期「将軍を迎える」令和7年10月3日(金)~令和7年11月30日(日)
[前期:10月3日(金)~10月31日(金) / 後期: 11月1日(土)~11月30日(日)]
Ⅱ期「にぎわう人々」令和7年12月5日(金)~令和8年1月18日(日)
Ⅲ期「水の意匠」令和8年1月23日(金)~令和8年3月8日(日)
Ⅳ期「春の花鳥」令和8年3月13日(金)~令和8年5月10日(日)
[前期:3月13日(金)~4月10日(金) / 後期:4月11日(土)~5月10日(日)]
Ⅰ期「将軍を迎える」は、江戸幕府3代将軍・徳川家光(1604~1651)を迎えるために造られた上洛殿の障壁画と建築装飾を取り上げます。
上洛殿は、江戸から京へ向かう将軍を迎えるため、尾張藩初代藩主・徳川義直(1601~1650)によって寛永11年(1634)に建てられました。
上洛殿の上段之間と一之間の障壁画は、儒教を重んじる義直の考えから、中国の皇帝にちなむ帝鑑図が描かれています。二之間は中国の高士(山村に隠れ住む有徳の人)を描く琴棋書画図、三之間は雪中花鳥図です。
これらは、将軍家などの権力者の御用を務めた狩野派の絵師・狩野探幽(1602~1674)が制作を担いました。探幽は、描くものを少なくし、余白を広く残して、軽やかな筆遣いで画面を描いています。探幽の作風は、以降の狩野派絵師によって広く学ばれることになります。
会期
令和7年(2025)10月3日(金)~11月30日(日)
※展示状況は、出品目録(PDF)にてご確認ください。
会期中は無休(ただし、催事等で変更になる場合があります)
主催
名古屋城総合事務所 名古屋城調査研究センター
協力
一般財団法人 名古屋城振興協会
主な出品資料
重要文化財 名古屋城本丸御殿障壁画「帝鑑図〔褒奨守令〕」 寛永11年(1634) [前期展示]
重要文化財 名古屋城本丸御殿障壁画「琴棋書画図〔棋〕」 寛永11年(1634) [後期展示]
昭和実測図「名古屋城御殿上洛殿拓本其の一」 昭和27年(1952)
名古屋城ガラス乾板「上洛殿二之間西側内法長押中央部分釘隠(焼失) 」 昭和15~16年(1940~1941)
※いずれも名古屋城総合事務所所蔵
重要文化財 名古屋城本丸御殿障壁画「帝鑑図〔褒奨守令〕」 じゅうようぶんかざい なごやじょうほんまるごてんしょうへきが 「ていかんず(ほうしょうしゅれい)」
寛永11年(1634) 名古屋城総合事務所所蔵 (部分) [前期展示]
上洛殿一之間東側襖絵4面の右側2面です。中央2面に宮廷の様子を描き、両端2面に松と山景を描いています。全体に余白の多いすっきりとした画面ですが、人物の衣服や建築物は鮮やかな絵具で着色され、金泥線による模様が描かれていました。余白を金雲が覆い、あっさりとしていながら豪華で品のある画面となっています。
「帝鑑図」は中国の皇帝にまつわる物語を絵にしたもので、「褒奨守令」は前漢の10代皇帝・宣帝の善政を描いています。宣帝が宮殿に官吏を召し、褒美を与えている様子が描かれています。
昭和実測図「名古屋城御殿上洛殿拓本其の一」 しょうわじっそくず「なごやじょうごてんじょうらくでんたくほんそのいち」
昭和27年(1952) 名古屋城総合事務所所蔵
名古屋市は昭和5年(1930)から名古屋城の管理を行っています。国宝となっていた天守などの建物の保存に役立てるため、実測調査を昭和7年(1932)から昭和17年度(1942)まで行い、図面の清書を昭和27年度(1952)に終えました。この昭和実測図は、昭和34年(1959)完成のコンクリートによる再建天守や現在行っている木造による本丸御殿と天守の復元事業の基本資料となっています。
上洛殿上段之間の釘隠金具から採られた拓本です。これらの拓本から、大きさや意匠の細部を正確に知ることができます。
※本サイト内の「昭和実測図 閲覧サービス」(https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/20_etsuran/)もあわせてご覧ください。
名古屋城ガラス乾板「上洛殿二之間西側内法長押中央部分釘隠(焼失) 」 なごやじょうがらすかんぱん「じょうらくでんにのまにしがわうちのりなげしちゅうおうぶぶんくぎかくし(しょうしつ)」
昭和15~16年(1940~1941) 名古屋城総合事務所所蔵
名古屋市は、昭和15年(1940)から翌年にかけて、名古屋城内の当時の国宝だった建物24棟の写真撮影を行いました。撮影に用いられたガラス乾板は、ガラスに感光剤を塗布したもので、写真フィルムに相当します。
上洛殿二之間西側の内法長押中央部分の釘隠を正面から撮影しています。二之間の釘隠は、唐獅子文の花熨斗で、熨斗形に折った懐紙で花を包む様子から、この形式の釘隠は花熨斗形と呼ばれています。