催し
西の丸御蔵城宝館企画展企画展「本丸御殿に秘められた意味-将軍たるもの、清貧であれ、人格者たれ-」(終了しました)
2022年11月19日 ~ 2022年12月18日
趣旨
寛永11年(1634)、京都に上洛する途中の三代将軍徳川家光が、名古屋城を訪れました。時の名古屋城主徳川義直は、甥の家光を饗応するため、父家康が作った本丸御殿に家光用の御書院を増築します。その後上洛殿と呼ばれるこの御書院は、襖絵や天井画、飾金具で埋められた豪華な建物でした。しかも襖絵には、将軍の目標ともいうべき善き政治・高潔な日々の手本が、天才画家狩野探幽によって描かれていました。
本展覧会では、上洛殿を飾っていた探幽の襖絵を一挙公開いたします。昭和20年(1945)の空襲を潜り抜けた飾金具や天井画の遺品もあわせて展示し、かつては将軍・藩主などしか目にしえなかった格高くして清澄な空間の再現をめざします。
会期
令和4年11月19日(土)~12月18日(日)
会期中は無休(ただし、催事等で変更になる場合があります)
主催
名古屋城総合事務所 名古屋城調査研究センター
主な出品資料
・重要文化財 名古屋城本丸御殿障壁画 上洛殿一之間襖絵帝鑑図 寛永11年(1634)
・重要文化財 名古屋城本丸御殿障壁画 上洛殿一之間天井板絵 寛永11年(1634)
・旧国宝 名古屋城本丸御殿 上洛殿花熨斗形釘隠 寛永11年(1634)
・旧国宝 名古屋城本丸御殿 上洛殿一之間 明かり障子 寛永11年(1634) など
重要文化財
帝鑑図襖絵 明弁詐書 ていかんず ふすまえ めいべんさしょ
名古屋城本丸御殿上洛殿一之間北側襖四面
寛永11年(1634) 狩野探幽筆
帝鑑図襖に描かれた説話は、十歳で即位した中国明代の万暦帝(ばんれきてい)に教育書として献上された書物『帝鑑図説』に収録されている。『帝鑑図説』は、中国歴代帝王の善政八十一話と悪政三十六話を収め、幼ない帝が理解できるよう挿絵を添えていた。
色の無い挿絵を襖という大画面に拡大し、彩色を施したのが、上洛殿の襖絵である。すなわち、三代将軍家光という日本での最高職の為政者がめざすべき政治の理想を、帝鑑図襖は示しているのである。
旧国宝
名古屋城本丸御殿 上洛殿花熨斗形釘隠
なごやじょうほんまるごてん じょうらくでん はなのしがたくぎかくし
本丸御殿焼損金具1
寛永11年(1634)
激しく損傷した栗鼠文の花熨斗形釘隠。名古屋城に今遺る焼損金具のうち最大で、文様の大半が焼け落ちているが、五枚の銅板を釘で止めるという構造はかろうじてわかる。構造を伝える花熨斗は本資料しかなく、本資料があるがゆえ、平成に行われた復元本丸御殿の金具制作は大きく進展した。本資料は、第二次世界大戦による本丸御殿焼失、その後の焼損金具収集保存、そして平成の御殿復元工事を語る象徴的存在といえる。
旧国宝