催し
西の丸御蔵城宝館企画展企画展「初公開 門外不出 巨大杉戸絵」(終了しました)
2022年09月17日 ~ 2022年11月06日
趣旨
杉戸絵は、杉板に絵を描いた廊下の間仕切り、襖絵は紙に絵を描いた室内の間仕切りです。江戸時代初期に建てられた名古屋城本丸御殿には、狩野派絵師による重厚な襖絵や杉戸絵がありました。昭和20年(1945)の空襲により本丸御殿は全焼しましたが、襖絵と杉戸絵は直前に取り外されており、焼失を免れました。戦後、それら計1047面は重要文化財に指定され、再建された天守閣(閉館中)の中で順次公開されてきました。
ここ西の丸御蔵城宝館の完成にともない、昨年度、すべての杉戸絵を館内の収蔵庫に移動しました。今回、その中から選りすぐりの名品を公開いたします。
会期
令和4年9月17日(土)~11月6日(日)
前期:9月17日(土)~10月4日(火)
後期:10月5日(水)~11月6日(日)
※前後期で展示替えがあります
会期中は無休(ただし、催事等で変更になる場合があります)
主催
名古屋城総合事務所 名古屋城調査研究センター
主な出品資料
・重要文化財 本丸御殿障壁画 竹虎図・麝香猫図杉戸絵 名古屋城総合事務所蔵
・重要文化財 本丸御殿障壁画 竹鶏図・松金鶏図杉戸絵 名古屋城総合事務所蔵
・重要文化財 本丸御殿障壁画 柴垣図・竹図杉戸絵 名古屋城総合事務所蔵
・重要文化財 本丸御殿障壁画 花車図・花桶図杉戸絵 名古屋城総合事務所蔵
・本丸御殿 打掛金物・肘坪金物(鍵) 名古屋城総合事務所蔵 など
竹虎図杉戸絵 ちっこず すぎとえ 前期展示
江戸時代前期 慶長19年(1614)
玄関大廊下・表書院境 東側
御殿への正規の入口である玄関棟(車寄)から大廊下を西に進むと、表書院棟にいたる。展示の杉戸絵は、大廊下と表書院の境にはめられていたもので、玄関・大廊下側(東側)に竹虎図、表書院側(西側)に麝香猫図が描かれている。框(周囲の木枠)を含めた高さは約210cm、幅191cm。杉板の厚さは1.5cm。樹齢を経た巨木からしか切り出せない板が、惜しげもなく用いられている。また框は、無節の桧に黒漆を塗り重ねたものである。なお、この面には鍵がなく、奥側(表書院側)からのみ鍵をかけることができた。
花車図杉戸絵 はなぐるまず すぎとえ 前期展示
江戸時代前期 寛永11年(1634)
上洛殿南入側 一之間・二之間境 西側
上洛殿南入側西寄り、すなわちわち二之間と一之間の境の位置にはめられた杉戸絵の西面(一之間側)である。七宝引手の外側に輪状の傷があり、L字形の鍵を回した時のあととわかる。この杉戸は、この先の一之間まで進める者を選別する仕切りであった。
一之間のさらに奥には、上段之間や将軍・藩主専用の手洗所があるが、その手前に別の鍵付き杉戸(桜図・躑躅雉子図。未出品)が立ちはだかっていた。二重の結界を通り抜けてはじめて、将軍・藩主という最高位の人物が座す空間に辿り着けるのである。
麝香猫図杉戸絵 じゃこうねこず すぎとえ 後期展示
江戸時代前期 慶長19年(1614)
玄関大廊下・表書院境 西側
御殿への正規の入口である玄関棟(車寄)から大廊下を西に進むと、表書院棟にいたる。展示の杉戸絵は、大廊下と表書院の境にはめられていたもので、玄関・大廊下側(東側)に竹虎図、表書院側(西側)に麝香猫図が描かれている。框(周囲の木枠)を含めた高さは約210cm、幅191cm。杉板の厚さは1.5cm。樹齢を経た巨木からしか切り出せない板が、惜しげもなく用いられている。また框は、無節の桧に黒漆を塗り重ねたものである。なお、円弧状の傷跡が引手脇にあり、L字形の鍵を掛けていたことがわかる。
花桶図杉戸絵 はなおけず すぎとえ 後期展示
江戸時代前期 寛永11年(1634)
上洛殿南入側 一之間・二之間境 東側
上洛殿南入側の西寄り、すなわち一之間と二之間との境にはめられた杉戸の東側面(二之間側)である。鍵は奥の面(西側)にしかなく、この杉戸絵を開けるには奥側から鍵をはずしてもらうしかない。
一之間のさらに奥には、上段之間や将軍・藩主専用の手洗い所があるが、その手前に別の鍵付き杉戸(桜図・躑躅雉子図。未出品)が立ちはだかっていた。二重の結界を通り抜けてはじめて、将軍・藩主という最高位の人物が座す空間に辿り着けるのである。
展示室風景
巨大杉戸絵①
巨大杉戸絵②
復元本丸御殿の杉戸框や本丸御殿打掛金物など