催し
イベントアーカイブ義直公と儒学-近世名古屋の文化の出発点-
2025年11月16日
尾張藩初代藩主・徳川義直は、かつて名古屋城二之丸庭園にあった聖堂「金声玉振閣」で儒教の儀式・釈奠(せきてん)を執り行い、儒学に基づく学問に取り組むことを宣言したといわれています。なぜ、義直公は儒教・儒学を重んじたのか?それを考えていくと、新しい世をリードしようとする義直公の強い意志が見えてくるでしょう。
日時
2025年11月16日(日)14時〜15時30分
会場
本丸御殿孔雀之間(本丸御殿ミュージアムショップ前で受付)
※会場は和室のため、座布団にご着席いただきます。机の用意はございません。
講師
鵜飼 尚代 / 名古屋外国語大学 名誉教授
料金
1,000円(別途、名古屋城入場料が必要です)
定員
35人
申込方法
9月12日(金)9:00からやっとかめ文化祭DOORS WEBページ よりお申し込みください。
当日スケジュール
13:30 受付
14:00 講座開始
15:30 終了
主催:名古屋市(名古屋城総合事務所)
運営:大ナゴヤ大学
2025年11月16日、「やっとかめ文化祭DOORS2025」との連動企画「義直公と儒学 〜近世名古屋の文化の出発点〜」を開催しました。
尾張藩初代藩主の徳川義直公は、名古屋城二之丸庭園に「金声玉振閣」を建て、儒教の儀式・釋奠(せきてん)を執り行ったと伝わるほど、儒教の影響を強く受けた人物として知られています。義直公は、尾張藩藩主として儒学を基づく学問に取り組むことを宣言しました。

講座ではまず、講師を務める名古屋外国語大学名誉教授でおられる鵜飼尚代先生が、儒教と儒学の違いを解説。儒教は教祖である孔子の教えを信奉・実践する立場であり、儒学は儒教に基づく学問を学習・研究する立場とのことで、続いて義直公の儒学関係年譜をたどり、いつの時期に誰と、どんなことを行ってきたのか理解を深めました。
義直公が執り行ったと伝わる釋奠についても紹介がありました。釋奠とは、古代中国で先聖先師の霊をまつることを指し、後漢以後は孔子およびその門人をまつることの専称とされています。釋奠で行われるいくつかの行程の中には、供え物をして一緒にお酒を飲んで拝礼し、儒教の教えからテーマを選んで議論する時間もあるといわれています。義直公が執り行った釈奠の流れはわかっていないのですが、この儀式を執り行うことにより儒教を信奉する姿勢を明確に可視化し表明しているとのことです。

後半では、義直公が手がけた「初学文宗」を読みながら、武断政治から文治政治への転換期に、義直公が何を重んじたのかをたどりました。初心者向けに著された「初学文宗」には、『論語』や『大学』といった儒学の四書からの引用も多く、「義直公が非常に読み込んでいた証左」と鵜飼先生。鵜飼先生の解説を聞きながら、細かくメモをとる参加者の方々の姿も見られました。

「初学文宗」の中で注目すべきは『大学』の八条目(格物、致知、誠意、正心、修身、斉家、治国、平天下)、特に「修身」の重要性を強調していることで、自己修養が天下国家の安定につながるという世界観を提示し、学問を含む日常的な自己修養を重視する姿勢を示していることだとのこと。「義直公は儒学の世界観の中に『日常の学』を位置づけ、平時の人(家臣)としての在り方について啓発しようとしているのではないでしょうか」という鵜飼先生の言葉から、戦国から徳川の世に移り変わる激動の時期に義直公が何を重んじたのか、その一端を垣間見られたように思うとともに、日々学び続けることの大切さを、400年の時を超えて改めて提示してもらえたように感じました。
ちなみに講座内で参照した「初学文宗」は『名古屋叢書 文教編』に所収されているので、興味のある方は図書館などでじっくり目を通してみてもいかがでしょうか。
カメラ・レポート/伊藤成美