催し
イベントアーカイブ縁(へり)から知る名古屋城~三之丸・「外堀」・御深井大堀(水堀)~
2025年08月17日

普段あまり語られることのない名古屋城外縁部について、名古屋城調査研究センター学芸員 木村有作さんとともに主に考古学的な成果や観点から考えることで、名古屋城の魅力を掘り下げます。
日時
2025年8月17日(日)10時〜11時30分
会場
本丸御殿孔雀之間(本丸御殿ミュージアムショップ前で受付)
※会場は和室のため、座布団にご着席いただきます。机の用意はございません。
講師
木村 有作 / 名古屋城調査研究センター 学芸員
料金
無料(別途、名古屋城入場料が必要です)
定員
35人
申込方法
7月16日(水)から大ナゴヤ大学HP内ページ よりお申し込みください。
当日スケジュール
9:30 受付
10:00 講座開始
11:30 終了
主催:名古屋市(名古屋城総合事務所)
運営:大ナゴヤ大学
2025年8月17日、城子屋「縁(へり)から知る名古屋城 三之丸・『外堀』・御深井大堀(水堀)」が、本丸御殿孔雀之間で開催されました。講師は名古屋城調査研究センター学芸員の木村有作さん。NHKの「ブラタモリ」で名古屋城の案内人を務めたご経験もある方です。
木村さんはまず、「今回は『<へり>かあ。<へり>はいいねえ』からのお話」と説明します。ちなみに、この『<へり>はいいねえ』は「ブラタモリ」でのタモリさんの言葉だそうです。名古屋城の縁(へり)のあたり、すなわち外縁部や外側も含めて鳥瞰的にお城を見るとどんなことが判るのでしょう。
最初に、「名古屋城の広さを知る」として、名古屋の地形や地質、名古屋城の各エリアの広さなどが紹介されました。本丸、二之丸、西之丸、三之丸、御深井丸、御深井御庭に分けられる名古屋城。広大な三之丸は他の城郭と比べてもあまりないものだといいます。徳川と豊臣の対立の末期につくられた名古屋城。戦の際に大勢の兵が集まる拠点となるよう、あるいは、遠距離から本丸を砲撃できなくするように、広い三之丸が設けられたのです。城下町を堀や土塁で囲む惣構(そうがまえ)までは実現しなかったものの、城の全体図から時代背景が窺えます。
続けて、名古屋城の門について。まさにお城の縁に位置する門が、どのように設置され、どのように使われていたのか。さらに、それらの門がどう姿を消したのか。さまざまなエピソードが史料とともに語られます。例えば、地名に残る「東片端(ひがしかたは)」は、現在の交差点の場所とは異なる、かつての名古屋城の東門あたりの堀端を指していたと思われることなどです。
さらに後半では、三之丸などで行われた発掘調査についての話題へ。IGアリーナ建設前に行われた御深井御庭周辺の発掘では、江戸時代の池の溝の跡が見つかっており、また窯道具が出土したことから近くに窯が存在したことが明らかになりました。
お城の真ん中から見るだけでなく、周りにも好奇心を向けていくと、空間的な視点が広がり、さらに時間的な変遷も想像しやすくなります。名古屋城への特徴の本質を捉えながら、次の世代へどう引き継いでいくかを考えていくのだとまとめられました。参加者のみなさんにとっては、これからお城の周りを見て回る際の新しい楽しみが増えたのでは。
カメラ・レポート/小林優太