催し
イベントアーカイブ尾張名古屋における菓子文化の歴史と発展【和菓子・お茶付き】
2025年03月15日

名古屋の菓子文化の発展について、尾張藩の歴史と重ね合わせながらひも解き、現代までの足跡をたどります。
日時
2025年3月15日(土)10時〜11時30分
会場
本丸御殿孔雀之間(本丸御殿ミュージアムショップ前で受付)
※会場は和室のため、座布団にご着席いただきます。机の用意はございません。
講師
遠山 佳治 / 名古屋女子大学短期大学部 教授
料金
1,000円 ※和菓子、お茶付き
(お茶はペットボトルでのご提供となります。)
(別途、名古屋城入場料が必要)
定員
35人
申込方法
大ナゴヤ大学HP内ページ よりお申し込みください。
当日スケジュール
9:30 受付
10:00 講座開始
11:30 終了
主催:名古屋市(名古屋城総合事務所)
運営:大ナゴヤ大学
2025年3月15日、城子屋「尾張名古屋における菓子文化の歴史と発展」が、本丸御殿孔雀之間で開かれました。名古屋城、尾張藩にまつわる多彩なテーマを取り上げる城子屋。今回は、多くの人にとって身近な“お菓子”の歴史を学びました。講師は、名古屋女子大学短期大学部の遠山佳治教授。近世・近代の生活史がご専門で、東海エリアの菓子文化も探究しています。メディアなどでも度々ご当地グルメの由来を解説されてきた食文化の専門家です。
また、普段と違う趣向として、参加者のみなさんにお菓子とお茶をご用意。召し上がっていただいた両口屋是清の「千なり」のお話もありました。
はじめに菓子全般の歴史の解説から。古くは木の実や果物から始まり、時代の変遷とともに菓子もその姿を変えてきました。奈良時代には米粉・小麦粉を練って揚げた唐菓子が登場。その後、平安時代には餅や団子、鎌倉時代には饅頭や蒸し羊羹、江戸時代には練り羊羹が広まります。明治時代になると洋菓子が普及し、「洋菓子」と「和菓子」の区別がされるようになりました。
菓子の歴史の大きな流れを掴んだ上で、話題はこの地域の菓子文化へ。まず、有名な神社ゆかりの菓子が紹介されます。唐菓子の流れを汲む津島神社の「あかだ」「くつわ」。熱田神宮の「藤団子」「筑羽根」。一つひとつの菓子の素材や製法、形や名前の由来まで、思わず「へー」と感心する詳細なお話が続きます。
江戸時代の尾張藩については、初期、中期、後期に分けて、代表的な商人とその商品の移り変わりが説明されました。江戸時代初期、従来の薬としての扱いから嗜好品へと変わり、武士たちの社交の場で重宝されるようになった菓子。新興都市の名古屋で、鶴田久七、桔梗屋又兵衛、両口屋是清喜十郎ら御用達商人が名を馳せます。
中期には、7代藩主・徳川宗春の治世で新しい菓子が次々と誕生しました。砂糖の国産が奨励された時期でもあります。大須の街には全国の銘菓が集まりました。その中には、近江草津宿の「姥が餅」、伊勢神宮の「赤福餅」など、今も人気の菓子も。
江戸時代後期になると、菓子も菓子商も多様化していきます。イベント特製菓子や年中行事の菓子を含む、新たに登場した菓子の数々。あるいは、御用達桔梗屋ののれん分けのエピソードなど、様々なトピックが取り上げられました。
時代が近代、現代へと進むと、「青柳」「納屋橋饅頭」「大須ういろ」など、私たちがよく知るお店や菓子の名前が続々と出てきます。ういろがどのように名古屋の名物となったのか、大正・昭和の頃に起きた製造技術の変化にも触れられました。さらに、老舗の代表的な菓子から駄菓子、そして平成・令和の新しい菓子まで。実に盛り沢山の内容でした。みなさんまさにお腹いっぱいになれたのではないでしょうか。バラエティ豊かでおいしい菓子を楽しめる、尾張名古屋の菓子文化の源流への理解を深められたと思います。
カメラ・レポート/小林優太