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名古屋城本丸御殿障壁画の裏と中 修理からわかること

2025年01月18日

名古屋城本丸御殿障壁画の裏と中 修理からわかることの画像

今回のテーマは、重要文化財に指定される名古屋城本丸御殿障壁画です。
1047面の障壁画は名古屋城にしかない、まさに国の至宝。
名古屋城では、江戸時代以来繰り返し修理し、現状を保ってきました。
修理の際には、解体修理や化学分析も行っており、修理時にはじめて判明する事実も多々あります。
また、本丸御殿障壁画の魅力は画面だけではありません。まわりの木枠や引手、鍵にも着目すると構造にも迫ることができます。

日時

2025年1月18日(土)10時〜11時30分

会場

本丸御殿孔雀之間(本丸御殿ミュージアムショップ前で受付)
※会場は和室のため、座布団にご着席いただきます。机の用意はございません。

講師

朝日 美砂子 / 名古屋城調査研究センター 学芸員

料金

無料(別途、名古屋城入場料が必要)

定員

35人

申込方法

大ナゴヤ大学HP内ページ よりお申し込みください。

12月11日(水)10時~申し込み開始

当日スケジュール

9:30 受付
10:00 講座開始 
11:30 終了

主催:名古屋市(名古屋城総合事務所)
運営:大ナゴヤ大学

2025年1月18日、城子屋「名古屋城本丸御殿障壁画の裏と中 修理からわかること」が、本丸御殿孔雀之間で開かれました。お話しいただいたのは、名古屋城調査研究センターの朝日美砂子さんです。復元された名古屋城本丸御殿を華麗に彩る障壁画の数々。そのオリジナルでもある現存する障壁画の修理がどのように行われているのか、そこからどんなことが分かるのかなどをお聞きしました。

障壁画とは、端的にいえば絵が描かれた建具のこと。本丸御殿においても、固定された「壁」や室内外を仕切る「障子」に多種多彩な障壁画が用いられました。慶長20年(1615年)に完成した本丸御殿には、約1400面の障壁画があったとされます。本丸御殿の建物は、昭和の戦時中に焼け落ちてしまいますが、障壁画は城内の乃木倉庫に保管されており戦火を免れました。

今、私たちが目にしている復元された本丸御殿の障壁画は、現存する障壁画や過去の写真をもとに模写されたものです。とはいえ、オリジナルの障壁画は劣化で色がなくなっている部分もあり、なにが描かれているか分からない場合も少なくありません。では、残った絵の具からどのように復元がなされたのか。障壁画の画像を参照しながら、具体的な事例をご紹介いただきました。

続けて、障壁画の修理の方法について。名古屋城の障壁画は、江戸時代からたびたび修理され、状態を維持してきました。障壁画はさまざまな要因でいたみます。例えば、建物の中での位置や、襖の奥か手前かで光の当たり方が異なり、紫外線にさらされやすい面ほどはやく劣化が進んでしまうのです。こうした環境要因の他、時間経過や人間の管理不行き届きなどが劣化をまねきます。いくつかの襖を例に、焼失前の実測図を参照しつつ、配置による色落ち具合を解説していただきました。参加者のみなさんも、違いを理解できたのではないでしょうか。

障壁画を未来へと残していくために修理は必要不可欠です。講座の最後には、今の修理工房の様子を動画で見せていただきました。なかなか見られない貴重な映像です。障壁画を丁寧に剥がし繕う繊細な作業によって障壁画が守られてきたのだと知りました。

朝日さんは「人は無知と怠惰で資料をこわす。しかし人は、努力と継承により資料を延命されることもできる」といいます。この言葉の通り、障壁画の管理と修理における人の力の大切さを実感するお話でした。

カメラ・レポート/小林優太