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名古屋城天守から山々の方角を測る

2024年08月10日

名古屋城天守から山々の方角を測るの画像

今回取り上げるのは、測量。
宝暦5(1755)年、名古屋城天守から四方の山や村の方角が測量されたとの記録が残っています。
名古屋城調査研究センター調査研究員で、過去に城子屋で「名古屋城天守閣から富士山は見えるか?」というテーマを扱った種田祐司さんとともに、測量の目的や当時の測量精度を探ります。

日時

2024年8月10日(土)10時〜11時30分

会場

本丸御殿孔雀之間(本丸御殿ミュージアムショップ前で受付)
※会場は和室のため、座布団にご着席いただきます。机の用意はございません。

講師

種田 祐司 / 名古屋城調査研究センター 調査研究員

料金

無料(別途、名古屋城入場料が必要)

定員

35人

申込方法

大ナゴヤ大学HP内ページ よりお申し込みください。

当日スケジュール

9:30 受付
10:00 講座開始 
11:30 終了

主催:名古屋市(名古屋城総合事務所)
運営:大ナゴヤ大学

2024年8月10日、城子屋「名古屋城天守から山々の方角を測る」が、本丸御殿孔雀の間で開かれました。今回の講師は、名古屋城調査研究センター学芸員の種田祐司さんです。種田さんは、以前に「天守から富士山が見えるか」というテーマでもお話しくださいました。その後、富士山の他にも、名古屋城から方々の山々を見通した図や方角を測った資料が見つかり、江戸時代の測量がどの程度正確かを調べてみたといいます。今回は、その成果をお話しいただきました。

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はじめに、調査に用いた資料について説明されました。基本資料となったのは、宝暦2年(1852年)から行われた名古屋城天守の修繕に伴い、工事完了後の天守から周りの山々を測量した文字・図面・絵図などです。名古屋城を中心とする円の周りに山々の名を記したもの。天守からの景色を横長の絵に描いたもの。さまざまな形式で記録されています。

さらに、当時の測量器具についての説明も。実は、地球の磁場の関係で時代によって方位磁石の指す方向が変化することや、名古屋城が真北ではなく西に傾いて建てられていることなど、なかなか知る機会のない豆知識も紹介されました。そして、江戸時代に天守でどのように測ったのか、実際に使われたと考えられる方法を詳しく教わります。

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これらを踏まえて、宝暦5年(1855年)の測量結果の一覧を参照しました。愛知、岐阜、三重、静岡、長野の約200の山々の名前と方角が記されています。種田さんは、記録に残る山が現在のどの山か比定し、Googleマップを用いて、天守閣からの方角を計算しました。結果、江戸時代と現在の結果の誤差の絶対値の平均は1.88度で、半分以上が1度以内でした。これは驚くべき精度の高さといえます。前述した名古屋城の方位の傾きも、ほぼ正確に把握されていたことが分かるそうです。

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今後の課題としては、他の城郭での事例や名古屋城で調査にあたった人物の調査が挙げられました。アナログな測量方法でありながら、そのレベルの高さが窺えるとても興味深いお話だったと思います。この研究が今後どのように進められていくのか楽しみです。

カメラ・レポート/小林優太