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積直しから読み解く名古屋城石垣の歴史

2024年01月14日

積直しから読み解く名古屋城石垣の歴史の画像

名古屋城石垣は築城以来災害等により破損、崩落することが多々ありましたが、その都度修理・積直しが行われ、現在に姿を残しています。その営みから明らかになる築城から現代に至る石垣の歴史について、最新の調査成果からたどっていきます。

日時

2024年1月14日(日)10時〜11時30分

会場

本丸御殿孔雀之間(本丸御殿ミュージアムショップ前で受付)

講師

二橋 慶太郎 / 名古屋城調査研究センター 学芸員

料金

無料(別途、名古屋城入場料が必要)

定員

35人

申込方法

大ナゴヤ大学HP内ページ よりお申し込みください。

当日スケジュール

9:30 受付
10:00 講座開始 
11:30 終了

主催:名古屋市(名古屋城総合事務所)
運営:大ナゴヤ大学

2024年1月16日、城子屋「積み直しから読み解く名古屋城石垣の歴史」を、本丸御殿孔雀之間で開催しました。講師は、名古屋城調査研究センター学芸員の二橋慶太郎さん。名古屋城の石垣がどのようにつくられたのか。これまでに、どこで、どんな積み直しが行われてきたのか。築城から400年の歴史の中にある、石垣のエピソードをご講義いただきました。

まずは、名古屋城の石垣に関する基礎知識から。各地の大名によって「公儀普請」で築かれた名古屋城。石垣も大名たちの集めた石によって積み上げられます。城内の石垣の長さは延約9.2km、高さ5〜13m。石垣の規模の大きさを改めて実感します。石材の産地は近辺のものから、遠方のものまでさまざま。ひとつのお城で、いろいろな石が見つかるのは名古屋城の特徴のひとつ。築城期の石垣には、各藩の刻んだ刻印も見られます。400年前に各藩の間で起きたトラブルや大名の配置における苦労などについてもふれられました。

大名たちが築いた石垣は、その後、雨風や地震によってたびたび崩れます。そうして行われた積み直しは、江戸時代だけでも15回以上。主な事例として「宝暦の大修理」の経緯や史料に残るエピソードが紹介されました。宝暦2年(1752年)に始まった天守台石垣の修理。藩内では修復方法に関する議論も起こり、最終的には巨大ろくろで天守を引っ張りながら石垣を積み直しました。その痕跡は今も石垣に残っています。

この他、本丸東門桝形や二之丸東鉄門桝形など、明確な記録には残っていないが、積み直したことが分かる場所もあるそうです。石材の積み方、石を割る矢穴の大きさ、石材の種類といった、石垣を観察して積み直されているか判断するポイントを教わりました。

後半は、近代の積み直しのお話に。明治24年(1891年)、濃尾地震の被害を受けて、石垣が積み直されました。その状況を確認するために発掘調査を実施。そこから明らかになったこと、発掘の手法などを知ることができました。

そして最後に、平成14年(2002年)から進行中の、本丸御殿東に位置する搦手馬出の石垣積み直し工事について。解体から今までに至るプロセスを聞き、現在の工事現場の写真も見せていただきます。この石垣は令和8年(2026年)完成予定です。参加したみなさんは、今後の成り行きも気になるのではないでしょうか。

カメラ・レポート:小林優太