催し
イベントアーカイブ最新の発掘調査成果からみた二之丸庭園
2023年08月11日

名古屋城とつくる学びの場「学びでつながる城とまち。城子屋」。
今回取り上げるのは、二之丸庭園の最新発掘調査です。
現在、二之丸庭園では整備計画に基づく発掘調査が進行中で、土の中に残る江戸時代の庭園の様相が、少しずつではありますが明らかになってきています。
今回は、調査を担当する名古屋城調査研究センターの学芸員が実際の出土資料も交えながら、最新の成果を紹介します。
日時
2023年8月11日(金・祝)10時〜11時30分
会場
本丸御殿孔雀之間(本丸御殿ミュージアムショップ前で受付)
講師
村上 慶介 / 名古屋城調査研究センター 学芸員
料金
無料(別途、名古屋城入場料が必要)
定員
35人
申込方法
大ナゴヤ大学HP内ページ よりお申し込みください。
当日スケジュール
9:30 受付
10:00 講座開始
11:30 終了
主催:名古屋市(名古屋城総合事務所)
運営:大ナゴヤ大学
2023年8月11日、城子屋「最新の発掘調査からみた二之丸庭園」を、本丸御殿孔雀の間で開催しました。今回の講師は、名古屋城調査研究センターの学芸員・村上慶介さん。西之丸、搦手境門跡、二之丸庭園などの調査を担当しています。2022年秋から2023年春に行われた二之丸庭園の第10次発掘調査にも参加。庭園をどのように調査し、どんなことが明らかになってきたか、最新の情報をお話しいただきました。
講座は、調査の話の前段として、二之丸庭園の基礎知識から始まりました。初代藩主・徳川義直によって庭園がつくられてから、どのような変遷を辿ったのか。10代藩主・斉朝の時期の大改修。明治には陸軍省の所管となったこと。第二次大戦後の国の名勝への指定。かつての庭園の様子がうかがえる絵図も見ながら、二之丸庭園の歴史を確認しました。
続けて、これまでの発掘調査について。平成の発掘調査は2013年に始まりました。調査と整備を進めてきた10年間の怒涛の流れが紹介されます。調査と発掘を並行しての怒涛のサイクルだったそうです。
そして、今回の本題である第10次発掘調査の話題に。この発掘調査は、「北園池」の護岸、底、築山の構造把握と、「東御庭」の遺構の残存状況の把握を、主な目的としたものです。それぞれの場所について、発掘を行った場所やその方法、得られた成果など、リアルかつ詳細な説明がされました。発掘を行った村上さんの話は臨場感があり、自然と引き込まれる内容でした。
後半には、村上さんにお持ちいただいた実際の出土資料を手に取って見られる時間も。陶磁器や瓦の破片など種類もさまざまです。書かれている文字が読み取れるものもありました。参加者のみなさんは、まじまじと資料に目をやってとても楽しそうな様子。村上さんに質問もして、詳しい説明を受けていました。出土資料に直に触れるチャンスはなかなかありません。こうした機会も、名古屋城の中で実施している城子屋ならではのものです。
歴史の1ページを明らかにする発掘調査が、どのように行われ、どういった成果が得られるのか。その実相をこの城子屋で垣間見ることができました。今後、二ノ丸庭園に限らず、名古屋城内の調査からどのようなことが解明されていくのか、より一層興味を持つきっかけになったのではないでしょうか。
カメラ・レポート:小林優太