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名古屋城と尾張徳川家の蔵書

2023年05月03日

名古屋城と尾張徳川家の蔵書の画像

名古屋城とつくる学びの場「学びでつながる城とまち。城子屋」。
今回取り上げるのは、尾張徳川家の蔵書です。

名古屋城を居城とした尾張徳川家は、江戸時代を通じて膨大かつ良質な蔵書コレクションを形成していきました。
これらの蔵書群がどのように形成され、また継承されていったのかを紹介します。

日時

2023年5月3日(水・祝)10時〜11時30分

会場

本丸御殿孔雀之間(本丸御殿ミュージアムショップ前で受付)

講師

今和泉 大 / 名古屋城調査研究センター 学芸員

料金

無料(別途、名古屋城入場料が必要)

定員

35人

申込方法

大ナゴヤ大学HP内ページよりお申し込みください。

当日スケジュール

9:30 受付
10:00 講座開始 
11:30 終了

主催:名古屋市(名古屋城総合事務所)
運営:大ナゴヤ大学

2023年5月3日、城子屋「名古屋城と尾張徳川家の蔵書」を、本丸御殿孔雀之間で開催しました。江戸時代、尾張徳川家は膨大な書物からなる蔵書コレクションを形成しました。それは、いつ誰がしゅう集し、どのように管理・活用されたものなのか。名古屋城調査研究センター学芸員の今和泉大さんにお話しいただきました。



尾張家の当主や家臣たちが集めた蔵書群は、現在は名古屋市蓬左文庫や徳川林政史研究所に伝わっています。蔵書の原点のひとつは、1617年に江戸の将軍家と徳川御三家に分譲された徳川家康の旧蔵書「駿河御譲本」。また初期の蔵書には、初代尾張藩主・徳川義直が1615年に京都で購入したものも。その後、江戸時代を通して、さまざまな書物が尾張徳川家の蔵書に加えられていきます。歴代当主それぞれの蔵書、婚礼調度でもあったという当主夫人たちの蔵書、家臣たちの編著書や収蔵書。購入した書物ばかりでなく、本を写したものや献上本もありました。貴重な書物を書写する際などには、学者、僧侶、公家らの伝手を頼り、徳川一族としての権威も使って、良質な書物をしゅう集していたようです。具体的な書物の紹介も交えながら、どのように蔵書が増えていったかをみていきました。



集められた書物は、名古屋城二之丸の表御書物蔵や奥御文庫のほか、江戸屋敷にも収められ、管理されました。蔵書目録も作成され、各書物に附された蔵書印からしゅう集の時期が絞れるといいます。また、必要に応じて名古屋と江戸の間を書物が行き来したり、他家からの依頼に応じて貸しされたりすることもありました。例えば、水戸の徳川光圀の修史事業において、尾張徳川家が所有していた書物が資料として借用されています。他家から貸し出しを求められた事実は、尾張家の蔵書への信頼が窺えると同時に、書物の価値を理解して活用できる文化基盤が近世社会にあったことが分かると説明されました。どんな書物を所蔵していたか、それらを通してどんなやり取りがなされたか。そんな視点からみえてくる歴史の一場面も、とても興味深いものです。


カメラ・レポート:小林優太