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経済都市・名古屋を考える。−江戸時代の物流・町割り・名古屋商人−

2023年03月18日

経済都市・名古屋を考える。−江戸時代の物流・町割り・名古屋商人−の画像

名古屋城とつくる学びの場「学びでつながる城とまち。城子屋」。
今回のテーマは「江戸時代の名古屋の経済」と「名古屋商人」です。

江戸時代、三都(江戸・大坂・京都)に次ぐ大都市であった名古屋。人口の多い大消費地であると同時に、周辺部を含めて産業が発達した生産力の高い地域でもありました。また、江戸と上方の中間にあり、河川や街道で内陸部との往来にも便利な物流の要に位置していました。これらを背景に、名古屋は経済都市として18世紀半ば以降ますます発展していきます。

授業では、経済・物流から見た名古屋城下・熱田の特徴や、江戸・上方・信州などとのつながり、当時の経済を動かしてきた名古屋商人について学びます。
「経済」「商い」の視点から江戸時代の名古屋のまちを見つめてみましょう。

日時

2023年年3月18日(土)14時〜15時30分

会場

本丸御殿孔雀之間(本丸御殿ミュージアムショップ前で受付)

講師

髙部 淑子 / 日本福祉大学 知多半島総合研究所 教授(主任研究員)

料金

500円(別途、名古屋城入場料が必要)

定員

35人

申込方法

大ナゴヤ大学HP内のページよりお申し込みください。

当日スケジュール

13:30 受付
14:00 講座開始 
15:30 終了

主催:名古屋市(名古屋城総合事務所)
企画・運営:大ナゴヤ大学

今回の城子屋のテーマは「経済都市・名古屋」。まちの成り立ち、名古屋商人、特産品、物流などの観点から、江戸の名古屋を紐解きました。講師は、日本福祉大学知多半島総合研究所の髙部淑子先生。冒頭、経済の視点から「名古屋をどのようにみられるか考えてください」と参加者へ声かけがされました。

配付資料には「城下町名古屋・早わかりマップ」と題された地図がつけられており、まずはそれを参照しながら、髙部先生が江戸時代の名古屋の町割りについて解説しました。名古屋城の天守閣が完成した後に着手された城下町の整備。清須や駿府から拠点を移してきた商人たちが、まちのどこで店を構えたのか。今も残るまちや道の名前の由来。江戸や大阪と異なり、城下町の外側に構えられた市。地図で位置を確認しながら、江戸、大阪、京都に次ぐ経済都市としての名古屋がどのように形成されたかを学びました。先生の解説を聞き、熱心に地図に書き込む参加者さんの姿も。

続けて、名古屋商人の変遷について。城下町整備とともにやってきた清須の商人たちのその後。時代と共に変わっていった商人たちの顔ぶれ。「三家」「除地衆」「十人衆」といった格付け。史料から読み取れる18世紀、19世紀の動向について語られました。19世紀前半に登場したという「長者番付」には有力な商人の名前が記され、現代まで続く家もいくつもみられます。



さらに、経済都市名古屋の特徴4点が説明されました。第一に、全国的な傾向と同じく18世紀半ば以降に経済活動が活発となったこと。生産量、物流量が増え、商品の多様化やブランド化が進んだといいます。その中で、商人同士が同業組合のような組織をつくる流れも。第二に、名古屋と周辺地域の生産力の高さ。「尾張名物集」という史料には、野菜、海産物、醸造品、焼物など、多種多彩な各地の名産品が書かれています。領内で消費するもの、領外から外貨を稼ぐもの。自分の地元の特産品を探す面白さもあります。第三に、名古屋内外の流通の動きについて。熱田の魚市や城下町外の流通拠点など、城下町と周辺でどのようなものの行き交いがあったか紹介されました。最後に、名古屋が地理的に恵まれた条件にあったこと。江戸と上片の間にあり、陸路も海路も川路も全て利用できる。全国からものが集まり、全国へ送り出せる地理的特性が、名古屋の経済発展の鍵となっていたようです。



「『清須越』や『宗春』にとらわれていると名古屋経済はわからない」。髙部先生の資料こう書かれている通り、さまざまな角度から江戸の名古屋の経済の実態を窺い知ることができました。今も残る、地名、企業、特産品。身近なもののルーツに、またひとつ新たな視点で目を向けてみる機会になったのではないでしょうか。

カメラ・レポート:小林優太