名古屋城天守閣整備事業市民説明会 令和8年2月 観光文化交流局名古屋城総合事務所 (1ページ) 目次 開会にあたって(開催趣旨、注意事項、登壇者紹介)2ページ 1 名古屋城天守閣整備事業について 6ページ 2 事業の進め方に係る総括について 30ページ 3 今後の事業の進め方について (1)基本的な方針と取り組み52ページ (2)課題への対応 ①復元における史実性とバリアフリーの両立55ページ ②石垣等遺構の保存60ページ ③現天守閣の価値の継承64ページ ④市民等の理解促進と機運醸成67ぺージ (3)事業の流れ70ページ 4 復元とバリアフリーの考え方について 別冊 (2ページ) 開会にあたって 開催趣旨 ・名古屋城天守閣整備事業の意義や進捗状況、今後の進め方を説明し、 本事業への理解を深めていただくことを目的に市民向け説明会を開催いたします ・本説明会については、令和5年6月に行った「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」における差別事案発生後初めての説明会の場であることから、同様の問題を生じさせることのないようこれまでとは異なり、質問等については以下の取り扱いとします ・本説明会では、事前受付にてお送り頂いましたご質問を回答とともに紹介いたします ・今回の説明の中でご不明な点がある場合は閉会後、会場後方の質問ブースにて、個別に質問を受け付けます ・その他の質問、ご意見については、アンケート用紙またはウェブアンケートに記載ください ・いただいた質問、ご意見につきましてはとりまとめの上、後日、回答を公式ウェブサイトを通じて公表させていただきます。 (3ページ) 注意事項 ・会場内における録音、録画、撮影 ・説明会中に自由に発言する行為や、拍手等の賛同を煽る行為、その他、会の進行を妨げる行為 ・区役所敷地内において来場者に対しアンケートやご意見を聞く行為、チラシ配り等 このような行為があった場合には、注意喚起のうえ、当該行為をお止めいただけない場合にはご退場いただきます。 また、その場合の再入場はできません。 当該行為の制止等するため、会の進行を止める場合があります。 差別発言、特定の個人や団体への誹謗中傷、相手方を否定するような発言等を確認した場合、制止・注意等必要な対応を行います。 (4ページ) 連絡事項 ・事務局および報道関係者による撮影がございます。皆様のプライバシーに配慮したうえで撮影を行いますので、予めご了承ください。 ・事務局が撮影した映像は後日、不適切な表現がなされていない旨を確認の上、動画サイトにて公開を予定しております。 ・撮影にあたり、写り込みたくない方は撮影外スペースに着席いただくか、開会前の確認時に挙手をお願いいたします。 皆さまのご協力のほどよろしくお願いいたします。 (5ページ) 説明者紹介 役職 名古屋市長 氏名 広沢一郎 役職 観光文化交流局名古屋城総合事務所長 氏名 渡辺孝彦 役職 観光文化交流局名古屋城総合事務所担当課長 氏名 坂倉大介 役職 観光文化交流局名古屋城総合事務所担当課長 氏名 細川真治 役職 観光文化交流局名古屋城総合事務所担当課長 氏名 國井栄二 役職 観光文化交流局名古屋城総合事務所担当課長 氏名 大石雅也 (6ページ) 1 名古屋城天守閣整備事業について (1)名古屋城天守閣整備事業の経緯 (1)名古屋城天守閣整備事業の経緯 (7ページ) ①事業の概要 名古屋城天守は、慶長17年(1612)に完成し、昭和5年(1930)に城郭建築として旧国宝第1号に指定されたが、昭和20年(1945)に戦災により焼失 昭和34年(1959)に、鉄骨鉄筋コンクリート造で再建されたが、その後半世紀以上が経過し、コンクリートの劣化や、耐震性の確保など様々な課題が顕在化 注平成30年5月現天守閣閉館 木造天守の復元は、現天守閣の課題を解決するだけでなく、豊富な史資料に基づき可能な限り史実に忠実に復元することで、本丸御殿と相まって、特別史跡名古屋城跡の本質的価値の理解を促進させるとともに、文化的観光面の魅力を向上させる (8ページ) (参考)本丸整備基本構想図 近世期最高水準の技術により築城された 名古屋城の象徴である本丸の姿を現代に再現する。 現存する遺構及び建造物等の適切な保存 改変された遺構や焼失建造物等の復元による歴史空間の再現 近世城郭の中枢部を体感 復元建造物を中心とした活用の展開 ・大天守・小天守  方針 復元 ・堀・石垣  方針 復元手法を検討 ・ぐそくたもんやぐら  方針 復元手法を検討 ・堀、石垣  方針 復元手法を検討 ・ほしいたもんやぐら  方針 復元手法を検討 ・東北隅櫓(旧国宝)  方針 復元 ・本丸東二之門(旧国宝)  方針 復元 ・本丸東一之門(旧国宝)  方針 復元 ・あらめたもんやぐら、はたたもんやぐら、やりたもんやぐら  方針 復元手法を検討 ・本丸表一之門(旧国宝)⇒ 復元 (9ページ) ②事業の経緯 平成18年 耐震改修により、現天守閣を存続させる方針(特別史跡名古屋城跡全体整備計画) 平成21年 前市長が、天守の木造復元に意欲 耐震改修と木造復元の両面から検討 平成27年 「技術提案・交渉方式」による公募型プロポーザルの実施、優先交渉権者を選定 平成28年 市民2万人アンケート実施、6割以上の方が木造復元に賛同 平成29年天守の木造復元に向けて事業スタート (10ページ) ③復元の進め方 特別史跡内で「復元」を行う場合、復元計画の内容について、文化財保護法に基づく国の許可が必要 許可に際しては、事前に文化庁の有識者会議(復元検討委員会)において、特別史跡の石垣等遺構の保存に問題がなく、歴史的建造物の再現行為として適切な復元計画であるか、「復元」の基準に沿って審議される 復元計画のとりまとめの流れ 事業着手 復元計画のとりまとめ 1資料の整理、調査・分析 2復元原案 3(現在)復元計画 4文化庁への提出 文化庁の手続き 1審議(復元検討委員会)  注 審議に要する期間は不明 2申請・許可 工事 注 着工時期、完成時期未定 事業着手時点の予定 復元計画のとりまとめ、平成29年3月から 文化庁の申請・許可、平成30年10月 解体工事、令和元年3月 天守完成、令和4年12月 (11ページ) ④復元計画の検討段階での主な課題事項 1石垣の保存方針 2バリアフリーの方針 (12ページ) ④復元計画の検討段階での主な課題事項【石垣の保存方針】 木造復元に際しては、特別史跡名古屋城跡の本質的価値を構成する「加藤清正の築いた壮大な天守台」をはじめとする近世期から残存する石垣等遺構の現状を、厳格に維持・保存することが前提 木造復元に向けて 天守台及び周辺石垣等について、有識者の指導・助言のもと、現状把握のための十分な調査を行い、石垣の保存方針や木造復元が石垣等の遺構に影響を与えることの無いような保護対策の検討が必要 (13ページ) 平成29年、事業着手後、石垣の保存方針のとりまとめに向けて、石垣調査を開始、調査・検討について有識者からは、市が文化財保護を前提とした考え方に立てておらず、調査の内容や体制が不十分として、厳しい指摘を受ける 平成30年、石垣の保存方針について、有識者との認識の一致に至らず、竣工期限(令和4年12月)の前提である、平成30年10月の文化審議会の諮問に至らない 平成31年4月、現天守閣の解体を先行する申請を文化庁へ提出、継続審議となり、解体着工の目途がたたない 8月竣工期限(令和4年12月)の延長を公表 9月文化庁から、石垣の調査・検討等が不足しているとの指摘事項を受領 (14ページ) 令和2年~4年、文化庁からの指摘を踏まえ、有識者の指導・助言のもと、石垣等遺構の調査・検討を丁寧に実施 令和3年5月及び令和4年5月、文化庁からの指摘事項に回答 令和5年6月、石垣の保存方針や保護対策について整備基本計画にとりまとめ 石垣の保存方針 1 石垣等遺構の残存状況や、変形・変状の状況について評価・分類(穴蔵石垣以外)。保存のための必要な対策を整理。 2 工事に伴う石垣等遺構の保護対策 仮設物から石垣等を保護するため、石垣面などをシートで覆い、軽量盛土で埋める等の計画。工学的な解析を行い、石垣等遺構を確実に保護できることを確認。 (15ページ) 今後の課題 〇解体工事着手までに、適切な保存対策工事の実施が必要(令和6年度から順次実施中) 〇現天守閣解体後、穴蔵石垣の詳細調査を実施し、安全確保の対策と、木造天守を支える基礎構造の検討が必要 (スケジュールの図) ・基本計画のとりまとめから、文化庁の申請・許可取得までに天守台及び周辺石垣の石垣保存対策を実施 ・現天守閣解体工事を実施 ・穴蔵石垣の調査を実施 ・基礎構造を検討・確定 ・整備基本計画見直し ・文化庁へ計画の変更を申請・許可取得 ・復元工事を実施 (16ページ) 事業の目的「特別史跡名古屋城跡の本質的価値の向上と理解促進」 外観のみならず、内部の構造・意匠を含めて可能な限り史実に忠実に木造天守を復元し、江戸期の名古屋城本丸を体感できる歴史的・文化的空間を蘇らせることで、多くの方に、天守を観覧いただき、我が国の優れた文化と歴史、技術をより深く知ってもらう 木造復元に際しては、共生社会の実現を目指す現代における歴史的建造物の復元として、、史実性との両立を図りながら、バリアフリーなどの環境整備が必要 (17ページ) 検討経緯 平成28年3月、優先交渉権者から、小型仮設エレベーター(4人乗り用・4階まで)の提案 平成29年11月、エレベーターを設置せず、代替案(チェアリフトの設置等)で車いす使用者等の合理的配慮を目指す方針案を有識者会議に示す 事前相談なくエレベーター不設置の方針を公表したことに対し、当事者から抗議・公開質問 を頂いたことを受け、庁内会議、有識者会議において、木造天守のバリアフリーを検討 注 当事者とは、障害者や高齢者をはじめ配慮を必要とする方 平成30年5月、エレベーターを設置せず、新技術の開発等を通じてバリアフリーに最善の努力をするとした「付加設備の方針」を公表 昇降技術の公募に向けた調査・検討 令和4年4月〜12月、「木造天守の昇降技術に関する公募」を実施。障害者や高齢者等からの意見聴取も経て、「垂直昇降設備」を優秀提案として選定 (18ぺージ) (2)差別事案の発生 (19ページ) ①名古屋城バリアフリーに関する市民討論会の開催 令和4年12月、垂直昇降設備の設置方針について前市長と当局とが異なる発言 前市長「1、2階までなら合理的配慮と十分言えるのではないか」 当局「できる限り最上階を目指していきたい」 選定結果の公表後、垂直昇降設備の賛否について、市民から多くの意見 令和5年3月、2月定例会本会議質問(副市長答弁)「バリアフリーについては、大天守1階への昇降は確保した上で、より上層階へ のバリアフリー対応を引き続き検討していくとともに、今一度、市民の意見を聴取する機会を設け、その結果も踏まえて、最終的には市長の判断を仰ぐ」 市民意見聴取へ 令和5年4月、市民アンケート実施(無作為抽出した市民5,000人を対象) 令和5年6月、市民討論会開催(市民アンケート回答者のうち、参加を希望された方) (20ページ) ②差別事案の概要 差別事案の概要 一部の参加者から他の参加者に対する差別用語を含む差別発言がなされ、言い合いが生じる場面が発生 障害者がエレベーターを求める意見を述べたことについて、一部の参加者から 「わがまま」、「図々しい」、「我慢せい」といった、障害のある方とない方を 分け隔てた上で、障害者のみに我慢を強いる発言 直接差別用語を用いながら、「産まれながらに不平等があって平等」、「そんな 金もったいないと思う」といった、障害者が障害のない方と同じようにあらゆる分野の活動に参加する機会を確保する必要がないという主旨の発言 当日の市の対応 発言の制止や注意喚起などの適切な対応ができなかった 討論会終了後も、市としての説明や謝罪などの対応を行わなかった 天守閣整備事業全体について振り返り、検証や総括が終わらない限り、事業を前に進めないこととした(令和5年6月に開催された経済水道委員会において、局長答弁) (21ページ) ③差別事案にかかる検証委員会による検証 設置目的 人権擁護の観点から、差別事案の問題点や課題等を整理・分析し、必要な調査・検討を行い、原因の究明のうえ、再発防止を図ること 検証経過 令和5年8月、「『名古屋城バリアフリーに関する市民向け説明会』における差別事案に係る検証委員会」の設置 令和6年2月、中間報告公表、討論会に直接関わる検証結果についてとりまとめ 令和6年9月、最終報告提出、背景・遠因、再発防止に向けた取り組みを含めてとりまとめ (22ページ) ④検証委員会の最終報告で指摘された問題点 事案における問題点と検証 1「討論会」とされた経緯 ・目的の不明確さ ・名称の不適切さ 2事前の準備 ・毎年実施してきた市民向け説明会とは異なる特殊性 ・問題発生の想定の甘さ ・スケジュール設定の無理 ・委託業者との連携体制の不十分さ ・人権侵害リスクの想定不足 3当日の運営実施・責任体制 ・運営・進行に関する認識と意識の共有不足 ・差別発言への対応 ・差別発言に対する市長の発言 4市が差別事案に対して適切な対応ができなかった背景・遠因等 ・史実に忠実な復元の解釈等の不一致 ・情報提供の不十分性、職員の苦悩や葛藤 ・無作為抽出によって市民討論会を開催する際の進め方 (23ページ) (3)事業の再スタートに向けて (24ページ) ①事業全体を振り返る総括のとりまとめ 検証委員会からの最終報告を観光文化交流局として受け止め、今後、二度と同様の問題や更なる問題を起こさないよう、天守閣整備事業全体の振り返りを行い、事業を進める上での基本的な方針、再発防止策を含む今後の事業の進め方を示す 総括の目的 検証委員会からの最終報告 最終報告に対する当局の受け止め 天守閣整備事業の振り返り(原因分析の対象、過去の担当者への聞き取り、評価・検討) 原因の整理とまとめ 今後の事業推進に向けて ・事業を進める上での基本的な方針 ・再発防止策を含む今後の事業の進め方 (25ページ) ①事業全体を振り返る総括のとりまとめ 事業を進める上での基本的な方針 1市内部の共通認識と円滑なコミュニケーション 2人権意識の向上と当事者との建設的対話 3特別史跡内における整備の丁寧な進め方 4市民等への丁寧な説明と理解促進・機運醸成 取り組みを整理 再発防止策を含む今後の事業の進め方 (26ページ) 令和7年5月「天守閣整備事業の進め方に係る総括」のとりまとめ 議会へ報告 8月〜 当事者や関係事業者等が参画する各種会議において説明 障害者施策推進協議会(8月8日、11月28日)、 障害者差別解消支援会議(8月21日、1月16日)、福祉のまちづくり推進会議(9月4日) その他(当事者団体の会議等) 再スタート後の建設的対話に向けて、「バリアフリー整備相談支援 事業当事者参画の場」で、今後の進め方を説明(9月11日、11月11日) 説明内容 当事者参画によるバリアフリー検討の進め方 ・基本的な考え方 ・当事者参画の進め方 ・開催時期(想定) 12月 議会へ説明(各種会議での説明状況、今後の事業の進め方) (27ページ) ③各種会議における主な意見 方針の決め方 ・どうしたら実現可能かを探り、できない場合は正確に理由を教えてほしい ・障害を理解し、当事者と一緒につくっていくという意識を持って進めてほしい ・文化庁にはバリアフリーの基準がない。完成したものが、バリアフリーに適切に配慮されていなければ、これが適切と誤った発信となり、差別の助長につながる 対話の期間 ・計画段階から完成まで、一貫して建設的対話を行うべき 整備の内容 ・多くの方が上層階に行けることが望ましい ・大型エレベーターも含めて検討してほしい 正しい情報発信 ・「障害者対市長・名古屋市」という構図を作らないよう、マスコミにもしっかりと情報提供してほしい ・新たな対立を生まないように、バリアフリーについて正しい理解の発信が必要 ・市民にも丁寧に情報提供すべき(「復元とバリアフリーの考え方」をまとめた資料を当事者参画の場で説明し、ウェブサイトでも公表) その他 ・天守だけでなく、周辺も一体的に整備していく必要がある (28ページ) ④今後の進め方 ・市内部の共通認識のもと、総括でとりまとめた事業を進めるうえでの基本的な方針に基づく取組を着実に進める ・特に、各方針を推進する上で重要な課題に重点的に取り組む (進め方の図) 実施中、石垣遺構の保存(文化庁の申請・許可まで)、現天守閣の価値の継承 1総括とりまとめ 2各種会議への説明 3市民などへの説明(現在) 4整備基本計画のとりまとめ、市民等の理解促進と機運醸成 5文化庁提出 6文化庁への審議 7文化庁申請・許可 8工事 (29ページ) ⑤バリアフリーの重要性について 天守の木造復元推進にあたり、階段体験館「ステップなごや」を設置しています。 ステップなごやでは、「実物大階段模型」を実際に昇降できます。 「実物大階段模型」の昇降体験を通じて、バリアフリーの重要性について理解を深めていただくためぜひ体験してください。 (30ページ) 2 事業の進め方に係る総括について (1)総括の目的 (31ページ) 検証委員会からの最終報告を観光文化交流局として受け止め、今後、二度と同様の問題や更なる問題を起こさないよう、天守閣整備事業全体の振り返りを行い、事業を進める上での基本的な方針、再発防止策を含む今後の事業の進め方を示す 1、検証委員会からの最終報告 2、第一章総括の目的と構成 3、第二章最終報告に対する当局の受け止め 4、第三章天守閣整備事業の振り返り ・天守閣整備事業の経緯 ・天守閣整備事業の展開に大きな影響を及ぼした事象 原因分析の対象、過去の担当者への聞き取り、評価・検討 5、第四章原因の整理とまとめ 6、今後の事業推進に向けて 事業を進めるうえでの基本的な方針 再発防止策を含む今後の事業の進め方 ・今後の事業の進め方 ・差別事案に対する再発防止策 (32ページ) (2)最終報告に対する当局の受け止め (33ページ) ・最終報告の指摘事項を全て真摯に受け止め、改めて深く反省するとともに、十分に理解を深め、今後の事業につなげていかなければならないと決意する ・「表現の自由も、すべての市民が等しく基本的人権を有するかけがえのない個人として尊重されることが前提である」ことを心に刻み、関係局と連携し、信頼回復につながる取り組みを確実に実施していく ・「人権感覚の希薄さ」の指摘を重く受け止め、障害者や高齢者をはじめ配慮を必要とする当事者への人権に対する配慮については、十分な検討が必要と感じている (34ページ) ・再発防止に向けては、最終報告の提言事項が、全ての基礎となる重要な取り組みと認識している ・人権に関する責任者である人権監理者を中心として、職員一人ひとりが主体的に適切な判断を行うことができるよう取り組む ・市民の信頼を大きく損なったことを肝に銘じ、失った信頼の回復につながるよう、指摘事項を十分に理解し、再発防止を図り、将来にわたっていかしてまいりたい (35ページ) (3)天守閣整備事業の振り返り (36ページ) ①振り返りの方法 本事業を進める中で直面し、対応してきた課題から、対象事象を選定し、過去の担当者への聞き取りを踏まえて行う評価・検討において、最終報告の指摘事項との関係性を確認しつつ、その原因を推定 1事業の展開に大きな影響を及ぼした事象 2過去の担当者への聞き取り 3評価・検討 4原因を推定 (37ページ) ②天守閣整備事業の展開に大きな影響を及ぼした事業 1、文化庁の見解に対する誤った認識と不十分な議会報告(平成25〜平成27年度) 2、木造復元に係る関連議案の継続審査につながる調査検討不足(平成27〜平成28年度) 3、石垣保存方針とりまとめに向けた石垣調査・体制不足(平成29〜平成30年度) 4、現天守閣解体申請の継続審議につながる調査検討不足(平成30〜令和 4年度) 5、エレベーター不設置方針に係る当事者への説明不足(平成29〜平成30年度) 6、公募で選定した昇降設備の設置方針に係る市内部の調整不足(令和 3〜令和 4年度) (38ページ) (4)原因の整理とまとめ (39ページ) ①事業の進め方に直接関わるもの(原因の根底) 原因の区分 内容 1市内部の調整不足 木造復元の解釈のほかに、様々な認識の不一致が市内部で生じていた 2人権感覚の希薄 バリアフリーの実現が障害者にとって人権問題であるという認識が十分ではなく、当事者と対話する姿勢が欠けていた 3史跡整備の経験不足 特別史跡名古屋城跡の本質的価値は石垣等の遺構であることは理解しているものの、史跡整備において考慮すべきことへの対応が不足していた 4情報提供不足 事業の基礎情報として公式ウェブサイトにおいて、相当量の情報提供があるものの、分かりやすい情報提供について欠ける点があった (40ページ) ②事業全体に影響を与えたもの 原因の区分 内容 1スケジュール優先 スケジュールを優先した事業の進め方であったことから、竣工期限を度々変更するなど混乱をきたすとともに、必要な調査検討が不足することとなった 2職員の苦悩や葛藤 過去の担当者への聞き取りにおいて、前市長の意向、職責による苦悩、葛藤が見受けられた (41ページ) (5)今後の事業推進に向けて (42ページ) ①事業を進める上での基本的な方針 区分 内容 1市内部の共通認識と円滑なコミュニケーション ・事業における考え方などの方針をはじめ、市内部で広く共有するために、本事業に係る行動指針を持ち、共通認識及び円滑なコミュニケーションを図る 2人権意識の向上と当事者との建設的対話 ・人権感覚を磨き、人権意識を高めていく ・共生社会の実現、バリアフリー法、障害者差別解消法等の法律の趣旨を踏まえ、当事者の参画の場における建設的対話を行う 3特別史跡内における整備の丁寧な進め方 ・特別史跡名古屋城跡の本質的価値を構成する石垣等遺構の厳格な保存管理が大前提であるため、史跡整備の基本的な手順を遵守し、丁寧に調査・検討を行い、有識者等関係者の理解を得ながら進めていく 4市民等への丁寧な説明と理解促進・機運醸成 ・市民等への丁寧かつ十分な情報提供に努め、分かりやすく伝えていくための情報発信の方法を検討し、実施することで、本事業に対する理解を促進し、機運が高められるように取り組む (43ページ) ②再発防止策を含む今後の事業の進め方 区分 内容 市内部の共通認識と円滑なコミュニケーション 市内部の認識を一致させた上で、円滑なコミュニケーションを図るため、「天守閣整備事業の推進ポリシー」を定め、市長、副市長、当局は共有し、ともに事業を推進する 天守閣整備事業の推進ポリシー ①市内部の認識を一致させ事業を推進 ②石垣等遺構を確実に保全 ③文化庁の復元基準に基づく木造復元 ④可能な限り史実に忠実な復元とバリアフリーの両立 ⑤関係者と十分な議論や合意形成を図り、必要な手順を積み上げた事業期間 ⑥観覧者等の防災上の安全を確保した整備基本計画 ⑦市民等の理解促進と機運醸成・現天守閣の価値の継承 (44ページ) ②再発防止策を含む今後の事業の進め方 区分 内容 人権意識の向上 ・観光文化交流局では人権監理者を配置し、人権監理者を中心として、職員一人ひとりが主体的に適切な判断を行うことができるよう取り組む ・市民向け説明会等を実施する際には、準備段階から人権監理者によるチェック、助言・指導を実施 ・研修等の充実を通じて、職員一人ひとりの障害者理解をはじめとする人権意識の向上を図る 具体的な内容 ・「名古屋市職員差別事象対応ガイドブック」の周知 ・「あいサポーター養成研修」等を活用した障害者理解のための研修の実施 ・「障害を理由とする差別の解消の推進に関する名古屋市職員対応要領」の周知 ・類似体験や障害のある方の講師派遣による研修の実施など (45ページ) ②再発防止策を含む今後の事業の進め方 区分、内容 当事者との建設的対話によるバリアフリーの対応方針の検討 ・可能な限り上層階までの設置を目指し昇降技術開発を進めていく ・当局と当事者との相互理解の上で進められるよう、当事者の意見を聞きながらバリアフリーを検討していく ・当事者参画の仕組みは、健康福祉局と連携しながら取り組む ・史跡等の整備等に係る有識者の専門的・技術的な観点からのご意見をいただき、史跡等の整備のあり方についての理解を深めながら進める (46ページ) ②再発防止策を含む今後の事業の進め方 区分 内容 多様な人権への配慮 ・より一層高い人権意識をもち、当事者などの意見を聞きながら観覧環境や、運営方法のあり方について検討を進めていく ・高齢者や障害者、子どもを連れた人、外国人など、多様な来場者に対応するため、バリアフリーの観点やユニバーサルデザインを踏まえ、観覧環境の更なる充実に努めていく (47ページ) ②再発防止策を含む今後の事業の進め方 区分 内容 市民向け説明会等の開催における人権侵害の防止などの適切な運営 ・差別発言等による人権侵害を二度と起こすことのないよう、適切な準備期間を設け、応援・協力体制を構築し、十分に対策を講じた上で、市民向け説明会等を運営していく 具体的な内容 ・開催趣旨の周知、事前の注意喚起 ・所内応援体制の構築 ・事前シミュレーションの実施 ・人権や障害者福祉を所管する部署との連携など (48ページ) ②再発防止策を含む今後の事業の進め方 区分 内容 特別史跡内における整備の丁寧な進め方 ・各種の研修等を通じて、名古屋城に携わる者の史跡保護に対する意識の徹底、学芸員の調査研究に関する能力向上を図っていく ・全体整備検討会議など場を活用し、有識者の指導・助言をいただくとともに有識者等関係者の理解を得ながら進めていく 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議の図 (49ページ) ②再発防止策を含む今後の事業の進め方 区分 内容 分かりやすい情報発信 ・本事業の意義や整備基本計画、バリアフリーの方針など、市民等へ丁寧かつ分かりやすい情報発信を行う ・市民等へ分かりやすく伝えるための表現や、情報発信の方法を検討、実施します 具体的な内容 ・専門用語を控えた分かりやすい表現 ・図や映像を使用した説明 ・様々な機会を捉えた市民向け説明会等の開催 ・名古屋城公式ウェブサイトや、各種SNS等での情報発信 (50ページ) ②再発防止策を含む今後の事業の進め方 区分 内容 市民理解の促進と機運の醸成 ・名古屋城内をはじめとする市内外の催事において、本事業のPRや、説明会等を開催する ・名古屋城天守閣寄附金(金シャチ募金)の募集における新たな返礼品の開発等、更なる機運醸成の取り組みについて検討し、各種の取り組みを段階的に実施する 現天守閣の記録の保存と記憶の継承 ・戦後復興の象徴である現天守閣の価値について、様々な記録を適切に保存するとともに、公開・活用し、市民等に広く発信していくことで、現天守閣の記録・記憶を継承する ・解体される現天守閣の部材などを活用し、思い出を形に残すことを通じて、現天守閣に込められた人々の想いや記憶を継承する (51ページ) 3 今後の事業の進め方について (1)基本的な方針と取り組み (52ページ) ①基本的な方針 1市内部の共通認識と円滑なコミュニケーション ・事業における考え方などの方針をはじめ、市内部で広く共有するために、本事業に係る行動指針を持ち、共通認識及び円滑なコミュニケーションを図る 2人権意識の向上と当事者との建設的対話 ・人権感覚を磨き、人権意識を高める ・本事業全体において、当事者の参画の場における建設的対話を行う 3特別史跡内における整備の丁寧な進め方 ・特別史跡名古屋城跡の本質的価値を構成する石垣等遺構の厳格な保存管理が大前提であるため、史跡整備の基本的な手順を遵守し、有識者等関係者の理解を得ながら進める 4市民等への丁寧な説明と理解促進・機運醸成 ・市民等への丁寧かつ十分な情報提供に努め、本事業に対する理解を促進し、機運が高められるように取り組む 現天守閣の記録・記憶を後世につなげる ・市民等の愛着や誇りを醸成するとともに、現天守閣の記録を適切に保存し、広く発信することで、現天守閣を市民等の記憶にとどめ (53ページ) ②重点的取り組み 基本的な方針 1市内部の共通認識と円滑なコミュニケーション 2人権意識の向上と当事者との建設的対話特別史跡内における 3整備の丁寧な進め方 4市民等への丁寧な説明と理解促進・機運醸成 市内部の共通認識のもと、方針に基づく取り組みを着実に進める特に、各方針を推進する上で重要な課題であるについては、重点的に取り組む 1復元における史実性とバリアフリーの両立 2石垣等遺構の保存 3現天守閣の価値の継承 4市民理解促進と機運醸成 (54ページ) (2)課題への対応 ①復元における史実性とバリアフリーの両立 (55ページ) 基本的な考え方 ・共生社会の実現を目指す現代における歴史的建造物の復元として適切な事例となるよう、木造天守全体のバリアフリーを進める ・垂直昇降設備については、史実性との両立を図りながら、可能な限り上層階までの設置を目指して検討を進める ・バリアフリーの実現は全ての人の人権につながることであるという認識のもと、行政として、木造天守のバリアフリーを推進する姿勢を明確に示し、新たな対立を生まないよう、市内部の共通認識のもと、市民等へ正しい情報発信を行いながら丁寧に進める (56ページ) 方針決定 ・当事者参画の場を活用し、対話を通じて、どうしたら実現可能かを検討し、丁寧な説明を行いながら、相互理解のもと方針を決定する ・適宜、市民等への情報発信を行い、理解促進を図る ・史実性とバリアフリーの両立の検討にあたっては、有識者の指導・助言を得ながら進める。 方針決定の流れのイメージ(図) 市は有識者へ相談し、指導・助言のもと市としての案を検討し、当事者参画の場で示す。 市は当事者参画の場での意見や要望をふまえてさらに検討し、再度、当事者参画の場に示して相互理解を図っていく。市は検討した案を当事者参画の場に示すことと併せて、市民理解促進のために、情報発信や意見聴取も行う。 市は当事者参画の場や市民理解促進を経たうえで、名古屋城関係の有識者会議に諮って方針決定をする。 (57ページ) ○当事者参画の進め方 対話期間 基本計画・設計段階だけでなく、木造天守完成に向けて、管理・運用面の観点を含め、継続的・段階的に建設的対話を行う 主な検討内容 当事者の特性に応じたバリアフリー整備の内容を検討する ・スロープ、手すり、物見台、垂直昇降設備(配慮した仕様、設置階、扉の窓 等)の設置及び運用(各階に専用スタッフ配置等) ・音声情報、点字等による利用案内、触知模型、案内サイン、文字情報 ・カームダウンスペース、危険防止装置、ベビーケアスペース、ベンチ等の休憩設備、緊急時用物品(AED、ポータブル簡易トイレ等) ・運用体制(スタッフ配置、通常時・非常時のオペレーション等) 他 開催時期 令和8年度末に一定のバリアフリー方針のとりまとめができるよう、5回程度の開催を想定する (58ページ) ○今後の予定 ・垂直昇降設備の安全性や耐久性等について第三者機関による評定の取得 ・製作した試作機について かご等を階段体験館(ステップなごや)に展示し、本技術を広く市民に周知する ・昇降技術開発の状況及び建物側の技術検討状況等を踏まえた観覧計画などの検討、運用方法を含む昇降設備の設置範囲の検討 ・現天守閣解体後の大小天守台の内部石垣(穴蔵石垣)の調査結果を踏まえた基礎構造決定後 構造計画の詳細検討 (59ページ) ②石垣等遺構の保存 (60ページ) 基本的な考え方 特別史跡名古屋城跡の本質的価値の主たる構成要素である近世期から残存する石垣は、その現状を維持するよう厳格な保存管理を行う 保存管理の概要 ・天守台及び周辺石垣について、現天守閣の解体及び木造天守の復元を見据え、これまでの調査で把握した石垣の劣化等に対して、保存を目的とした対策を実施する ・石垣保存の方針に基づき、劣化状況や人の動線などを考慮し、優先的に保存対策工事を行う必要がある石垣面から設計を進めており、設計が完了し、現状変更許可を取得した石垣面(天守台北側の対面の石垣)について、令和6年度から、順次、工事を実施している (61ページ) 保存対策の手法 1間詰石の締め直し、補充等 石垣全面において間詰石の緩みのある箇所の締め直し、抜け落ちた部分の補充を行う。また、築石の間や背面に空隙がある箇所に栗石を補充する。 2破損石材の修理 石材の割れ等に対しては、補修材の注入等により固定する。その他、欠落した表面に新補石材を補充する手法を用いる。 3石垣保存対策工事の様子(写真) 石垣の隙間へぐりいしをはめ込んでいる様子(写真) 石垣の割れ目に補修材を注入している様子(写真) 4天守台および周辺石垣の保存対策範囲(図) 保存対策箇所、天守台石垣北側対面 (62ページ) 今後の予定 引き続き、文化庁や有識者の指導・助言をいただきながら、現状変更許可の取得までに、必要な保存対策工事を実施する 補修のための足場が組まれた天守台北側石垣対面の石垣(写真) 守台北側石垣対面の石垣(写真) (63ページ) ③現天守閣の価値の継承 (64ページ) 基本的な考え方 市民の愛着や誇り、本市のシンボルである現天守閣について、記録や価値、市民等の思い出を保存・活用することで後世に継承する 記録の保存 1映像の制作 これまでの記録を活用し、現天守閣の開館当時の動線や展示内容等を再現する映像を制作する 2解体時の記録・活用 建築物としての歴史的・構造的に重要な部分についての躯体の内部構造等を記録し、活用する (65ページ) 記憶の継承 1市民アーカイブの推進 ・現天守閣にまつわる写真や、映像、図面、エピソード等、市民生活とともにあった現天守閣への思いを収集し、アーカイブとして可視化を図る ・市民等から多くの関心を集めてきた現天守閣の歩みを実感できるよう、新聞や雑誌等の記録を収集し、アーカイブとして可視化を図る 2「もの」による記憶の継承 ・現天守閣の部材を活用した展示やグッズ等を制作することにより、現天守閣に対する人々の思いや記憶をものにより継承する (66ページ) ④市民等の理解促進と機運醸成 (67ページ) 基本的な考え方 現天守閣再建時と同様に木造天守復元に対する市民の理解促進と機運を醸成し、市民とともに復元を推進する 市民理解の促進 1市民説明会及びシンポジウムの開催 事業の意義や進ちょく状況、今後の進め方等を丁寧に説明する市民説明会や、本質的価値の理解を促すシンポジウム等を開催する 2名古屋城公式ウェブサイトにおける情報発信 本事業の進ちょく状況等を分かりやすく伝えられるようウェブサイトを構成する 分かりやすい説明・市民の理解促進 (68ページ) 機運醸成 1機運醸成イベントの実施 本事業を応援いただく事業者等(金シャチパートナー)と連携し、機運醸成の催事等を実施する 2現天守閣の芳名板の活用 現天守閣の再建当時の市民の盛り上がりを実感できる現天守閣の芳名板を展示する 3デジタル技術を活用した映像制作 市民や観光客が、木造復元後の荘厳な天守を体感できるVR(バーチャルリアリティ)映像を制作する 4階段体験館(ステップなごや)の有効活用 実物大階段模型や、没入感のあるVR(バーチャルリアリティ)映像などの体験を通じ、機運醸成を図る施設として活用する ・本質的価値の理解促進 ・復元への機運を醸成 (69ページ) (3)事業の流れ (70ページ) 事業の流れの(図) 木造復元を進めるため、「現天守閣の解体と木造天守の復元を一体とした全体計画」をとりまとめ、文化庁の手続き(復元検討委員会での審議や、現状変更許可)を経て、工事を進めていく。 その過程においては、次の4つの重要な課題に重点的に対応して取り組む。 1「史実性とバリアフリーの両立」 当事者参画の場での「建設的対話による検討」を行い、天守全体の「バリアフリー方針」をかためる。 その後も当事者との対話を継続し、運用等を含めて詳細検討を行っていく。 2「石垣等遺構の保存」 現天守閣の解体工事を開始するまでに、石垣の保存方針に基づき、劣化等がみられる天守台周辺石垣の保存対策を進める。 また、木造天守の工事に向けて、現天守閣解体後に実施する天守台内部石垣の詳細調査を実施した上で、天守を支えるための基礎構造を決定し、修正した計画について、再度、文化庁の許可を受ける。 3「現天守閣の価値の継承」 戦後復興の象徴でもある現天守閣の記録を適切に保存し、果たしてきた役割をしっかりと後世に継承していく取り組みを進める。 4「市民等の理解促進と機運醸成」 事業の意義や進捗状況を説明する市民説明会の開催や、正確な情報を適切に情報発信していく等、取り組みを進める。 こうした取り組みを行うことで、今後も本事業を丁寧に進めてまいりたい。 (71ページ) 4 復元とバリアフリーの考え方について 注 別冊「名古屋城天守閣整備事業」における復元とバリアフリーの考え方参照