名古屋城天守閣整備事業における復元とバリアフリーの考え方 【令和8年2月 市民説明会 別冊資料】 (1ページ) 注 本資料は抜粋版になります。全編は名古屋城公式ウェブサイトをご確認ください。 1.事業の目的 (1)史跡等における復元建物の位置づけ (2)名古屋城天守の木造復元の目的・意義 (参考1-1)歴史的・文化的空間の再現イメージ 2.復元の考え方 (1)名古屋城天守の復元の考え方 (参考2-1)現代設備の必要性 (2)可能な限り史実に忠実な復元の考え方 (参考2-2)現代設備の主な内容 (3)現代設備の設置の考え方 3.バリアフリーの推進 (1)歴史的建造物の復元とバリアフリーのあり方 (2)名古屋城天守の復元におけるバリアフリーの考え方 (3)垂直昇降設備を公募で選定した経緯 (参考3-1)エレベーター(11人乗り相当)の設置スペース (参考3-2)公募の概要 (4)垂直昇降設備の概要 (参考3-3)垂直昇降設備のイメージ (5)「当事者参画の場」等における主な意見 (6)次回(2月中)開催の「当事者参画の場」における主な検討内容 (2ページ) 1.事業の目的 (1)史跡等における復元建物の位置づけ 名古屋城は、文化財保護法に基づく「特別史跡」(文化財)に指定 文化財の考え方 文化財を次世代へ継承するため、文化財の適切な保存と活用による理解促進が必要 ・文化財保護法/目的(第1条) 「文化財を保存し、かつ、その活用を図り、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文 化の進歩に貢献すること」 復元建物の位置づけ 歴史的建造物を復元する場合は、文化財の活用に資するものとして、多くの方に、史跡等の価値の理解を深めてもらうことが重要 〇文化審議会答申「文化財の確実な継承に向けたこれからの時代にふさわしい保存と活用の在り方について」(H29) 「史跡等における復元建物は、・・・(中略)、その価値を広く知ってもらうためのものであり、適切に行われるのであれば、文化財の積極的な活用に資するものである。」 (3ページ) (2)名古屋城天守の木造復元の目的・意義 「特別史跡名古屋城跡の本質的価値の向上と理解促進」 <名古屋城天守の特徴・価値> ・徳川家の威信をかけ、近世期最高水準の技術により築城 ・江戸時代を通じて残った天守として日本一の規模を誇る ・日本城郭の見本として姫路城とともに永久保存が決定、旧国宝第1号に指定 先人の努力により、国内随一の豊富な史資料が遺され、忠実な復元が可能 木造復元により 外観のみならず、内部の構造・意匠を含めて可能な限り史実に忠実に木造天守を復元し、江戸期の名古屋城本丸を体感できる歴史的・文化的空間を蘇らせることで、多くの方に、天守を観覧いただき、我が国の優れた文化と歴史、技術をより深く知ってもらう (4ページ) (参考1-1)歴史的・文化的空間の将来再現イメージ(図) 将来の本丸の姿 本丸を構成する現存する石垣、建造物等の適切な保存管理と現存しないものの段階的な復元等により、本丸全体を往時の姿が実体験できる場とする(R3.3策定「本丸整備基本構想」より) (5ページ) (参考1-1)歴史的・文化的空間の再現イメージ(天守内部)(図) 1世界最大級の高層木造建築物として、巨大な柱・梁が組み合わされた様子 2サマやイシオトシなど防衛機能を備えた近世期の天守の特徴 3格式高い最上階の仕様(コグミゴウテンジョウ、黒漆塗のマイラド等) (6ページ) 2.復元の考え方 (1)名古屋城天守の復元の考え方 文化庁の基準の「復元」として計画 <復元の基準>(一部抜粋) 区分、基準 1基本的事項 ・当該史跡等の本質的価値の理解にとって有意義であること ・当該史跡等の本質的価値を理解する上で不可欠の遺跡の保存に十分配慮したものであること 2技術的事項 ・復元する歴史的建造物が遺跡の位置・規模・構造・形式等について十分な根拠を持ち、復元後の歴史的建造物が規模・構造・形式等において高い蓋然性をもつこと 3配慮事項 ・歴史的建造物の構造及び設置後の管理の観点から、防災上の安全性を確保すること (7ページ) 可能な限り史実に忠実な復元と現代設備の付加 調査研究に基づく史実に忠実な復元 ・史資料の調査研究に基づき、規模・構造・形式等に高い蓋然性を確保 ・昭和実測図、ガラス乾板写真 加えて 防災上の安全確保とバリアフリー ・防災上(構造、防火・避難)の安全性やバリアフリーの配慮に必要な現代設備を付加 ・防災設備、垂直昇降設備 遺構の保存に十分配慮した整備 ・特別史跡名古屋城跡の石垣等遺構に悪影響を及ぼすことのないよう万全の対策を行う (8ページ) (参考2-1)現代設備の必要性 江戸期の天守は、防御機能を備えた世界最大級の高層木造建築物であり、現代の法律の基準(構造、防災、バリアフリー等)の全てに適合しない 木造復元に際して、歴史的な価値や事実を正しく伝えていくためには、下記の点が不可欠 ・史実性を確保すること 建築基準法の適用除外 消防法の一部免除 バリアフリー法の基準対象外(建築物移動等円滑化基準) <関係法令> 消防法 バリアフリー法 (努力義務) 障害者差別解消法 + 代替措置・配慮 ・観覧環境を整備すること 万が一の地震・火災への安全性確保 バリアフリー等の付加設備の整備 (9ページ) (2)可能な限り史実に忠実な復元の考え方 ・復元する木造天守の姿 天守と一体である天守台の石垣が宝暦の大修理(1752年~)で積み替えられ、その時の姿を今に残している 宝暦の大修理以降の天守について、復元に耐えうる豊富な根拠資料が遺されている(昭和実測図、ガラス甲板写真、史資料の図) 復元時代は、宝暦の大修理後の姿に復元 調査を徹底し、可能な限り史実に忠実な復元を行うことで、本来の天守の姿に加え、機能や用途の理解へとつなげていく (10ページ) (3)現代設備の設置の考え方 事業目的の範囲で、付加的に現代設備を設置 1木造天守の主架構(梁・柱等)を変更しない ・梁、柱等の主架構は、伝統的な木造軸組建築の重要な構成要素 ・巨大な柱、梁等が組み合わされた内部空間にこそ、世界最大級の木造建築である名古屋城天守の特徴を備えており、築城から300年を超えてその構造を支えた 2基本的に、取り外せば当時の姿に戻せる <文化庁の見解(口頭確認)> 「現代的な工法等を、壁内など表面に現れない箇所に用いることや、規模や構造等を変更せず、当時の姿に戻すことができる形で、付加的、仮設的に設置する場合は、『復元』とすることが可能」 3設置場所、形態、意匠等に十分な配慮・工夫を行う (11ページ) (参考2-2)現代設備の主な内容 区分、内容 防災設備 ・3階から4階に階段を1か所増設 ・5階から4階への救助袋式避難ハッチを設置 ・火災時の煙の拡散を防ぐため自動閉鎖機能を有する扉を付加 ・避難誘導灯、監視カメラ、煙感知器、非常放送設備等の設置 ・消火機器(スプリンクラー、屋内消火栓、消火器)の設置 構造補強 ・間仕切りの板壁内部に地震時の建物の揺れを吸収するダンパーを設置 ・現天守閣のケーソン基礎の使用、1階外周部(入側)を支える基礎構造 バリアフリー設備 ・垂直昇降設備の設置 ・スロープの設置(内苑~小天守出入口、橋台、大天守出入口~地階廊下他) ・敷居の段差解消プレート(置き式) ・階段の昇降を補助する手摺の設置 照明設備 ・階段手摺や敷居足元への照明を設置 ・間接照明(観覧者から直接見えない位置)、可搬式の行灯型照明器具の配置 (12ページ) 3.バリアフリーの推進 (1)歴史的建造物の復元とバリアフリーのあり方 文化財の特性を踏まえ、バリアフリーとの両立が大切 <復元とバリアフリーに関する質疑>注 参議院文部科学委員会(R1年5月)、衆議院国土交通委員会(R2.4) ・文化財のバリアフリー化と史跡等の文化財の価値を保存する形での整備については、できる限り両立が図られることが大切 ・復元建造物のバリアフリーの在り方やその対策については、一律に基準を定めることは困難 ・施設の所有、管理者において、文化財の特性に応じて具体的かつ適切に判断されることが重要 当事者参画のもと、バリアフリーの検討が必要 <令和2年のバリアフリー法改正時の附帯決議>(R2年5月) ・障害者権利条約に則り、歴史的建造物を再現する場合等におけるバリアフリー整備の在り方について、高齢者、障害者等の参画の下検討が行われるよう、必要な措置を講ずること (13ページ) (2)名古屋城天守の復元におけるバリアフリーの考え方 バリアフリー法 ・木造天守が、建築基準法第3条第1項第4号の認定を受けることにより、建築物移動等円滑化基準の対象外となる ・ただし、地方公共団体及び施設設置管理者の責務(第5条、第6条)として、移動等円滑化に必要な措置を講じるよう努めることが必要 障害者差別解消法 ・障害を理由とする不当な差別的取り扱いを禁止(第7条第1項)しており、「環境の整備」(第5条)に努めるとともに、社会的障壁の除去の実施について必要かつ「合理的な配慮」(第7条第2項)を行うことが必要 (14ページ) 史実性とバリアフリーの両立を目指す ・木造復元の事業目的を達成するためには、多くの方が天守内部に入り、観覧できることが不可欠 ・社会要請としてのバリアフリーは重要であり、共生社会の実現を目指す現代における歴史的建造物の復元として、障害のある人もない人も共に天守を観覧できるよう、事業目的の範囲で、環境整備に努めることが必要 バリアフリーの実現は、全ての人の人権につながる問題であり、多くの方に江戸期の歴史的・文化的空間を体感していただけるよう、木造天守全体のバリアフリーを推進し、史実性との両立を目指す <木造天守のバリアフリー整備の例> ・スロープ、段差解消 ・手摺、足元灯 ・垂直昇降設備など 進め方 障害者や高齢者などの配慮を必要とする当事者との建設的対話を通じ、相互理解のもと方針を決定していく (15ページ) (3)垂直昇降設備を公募で選定した経緯(H29~30検討) バリアフリー法に準拠したエレベーター(11人乗り相当) 4階まで設置した場合、設置スペースが大きく、木造天守の柱・梁等の主架構(柱10本・梁29本)を取り除く必要がある 伝統的な木造軸組建築である木造天守の構造、形式等に高い蓋然性に大きな影響 多くの方が木造天守の上層階まで昇降できる技術を募り、実用化を図ることを目的として「公募」を実施(令和4年度) (垂直昇降設備の図) 梁と梁の距離2.1メートル、エレベーター設置スペース縦約5.5メートル、横約5.3メートル (16ページ) (参考3-1)エレベーター(11人乗り相当)の設置スペース(H29~30検討) (地震時、木造天守が変形し、エレベーター昇降機に干渉するイメージ図) 地震により木造天守が変形、地震の揺れで、木造天守は大きく変形するが、 鉄骨造のエレベーターは変形が小さい。木造天守の主架構(梁・柱)等と エレベーター昇降路が干渉 離隔距離(最大変位)を含め、大きな設置スペースが必要(4階まで設置した場合、約5.3メートル×5.5メートル) (参考3-2)公募の概要 区分、内容 目的 ・できるだけ多くの方が使用できる昇降技術を募り実用化することで、史実に忠実な復元とバリアフリーの両立を実現 求める昇降技術 ・大天守の内部を垂直に昇降する技術 ・大天守の階段を直接昇降する技術 ・外部から直接大天守1階以上に入城できる技術等、幅広く技術を募集 主な条件 ・大天守の柱、梁を傷めないこと ・大天守1階まで昇ることを必須とし、可能な限り上層階まで昇ることが できること 公募への高齢者、障害者等の参画 ・令和2年の「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」の 改正において、歴史的建造物を再現する場合等におけるバリアフリー整備の 在り方について、高齢者、障害者等の参画の下、検討が行われるよう、必要 な措置を講ずることとされた趣旨を鑑み、高齢者、障害者等からの意見を踏 まえて提案された昇降技術の選定を実施 (18ページ) (4)垂直昇降設備の概要 設置方法 ・木造天守の構造を変更せず、梁の間を通し、レールと制震枠を上階の梁に固定してつり下げ(垂直昇降技術の図) 定員 ・車いす使用車と介助者が同乗可能(イメージ図) 昇降方法 ・各階で乗り換えながら、上層階までの設置を目指せる技術(技術検討中)(設置個所平面図) (19ページ) (参考3-3)垂直昇降設備のイメージ ・設置スペース(イメージ図)縦約1.6メートル、横約1.5メートル ・かご位置が上の階のイメージ図 ・かご位置が下の階のイメージ図 (20ページ) (5)「当事者参画の場」等における主な意見(エレベーター及び垂直昇降設備関連) ・エレベーターを最上階まで設置してほしい ・昇降設備の設置について、より多くの方が上層階に行けることが望ましい ・昇降設備は、難しい操作が必要でなく、スタッフの補助無で、みんなが簡単に使えるものとしてほしい ・大型エレベーターも含めて検討してほしい、技術的に可能なのかを示してほしい ・たくさんの人が登れる昇降機を設置した上で、可能な限り史実に忠実な復元と現代設備の付加をお願いしたい ・外付けエレベーターも検討してほしい (21ページ) (6)次回(2月予定)開催の「当事者参画の場」における主な検討内容 事項、内容 大型エレベーター ・これまでの検討状況など 外部エレベーター ・これまでの検討状況など 垂直昇降設備 ・これまでの検討状況 ・基本的な仕様・性能、利用対象者の考え方など 注 木造天守全体におけるバリアフリー整備内容は、次回以降の「当事者参画の場」での検討や市民等への情報提供・意見募集を実施予定