タイトルページ 名古屋城天守閣整備事業について スライド1 本日の説明内容 11月の当事者参画の場等における主な意見(復元の考え方、バリアフリー整備関連) 事業の目的や復元に関する意見 ・「可能な限り史実に忠実な復元」であれば、柱・梁等を取り除くことも「可能な限り」の中に含まれるのではないか ・共通の目標、共通の目的が設定できていない 等 大型エレベーターの設置に関する意見 ・大型エレベーターも含めて検討してほしい、技術的に可能なのかを示してほしい ・外付けエレベーターも検討してほしい 等 垂直昇降設備の仕様・運用に関する意見 ・昇降設備は、難しい操作が必要でなく、スタッフの補助無で、みんなが簡単に使えるものとしてほしい ・聴覚障害者は、エレベーターの中でコミュニケーションが取れないため、内部にモニターを設置し、扉は透明にしてほしい ・昇降設備はどのような運用を想定しているのか 等 上記ご意見に対する説明内容 1.特別史跡名古屋城跡における天守復元の考え方について (1)事業の目的 (2)名古屋城天守の特徴 (3)木造復元における現代設備の設置 2.大型エレベーターの設置検討について (1)エレベーター設置にかかる検討経緯 (2)大型エレベーター設置にかかる影響 (3)外部エレベーター設置にかかる影響 3.垂直昇降設備の仕様について (1)垂直昇降設備の技術開発の概要 (2)垂直昇降設備の仕様・性能 (3)設置範囲の検討状況 スライド2 当事者参画の場の進め方 令和7年度 2月(本日) 説明内容 復元の考え方・大型エレベーター・垂直昇降設備の仕様 令和8年度 5月・8月・11月・2月の4回 説明内容 垂直昇降設備の設置範囲の素案を示して、次のように進める。 ・大型エレベーター及び垂直昇降設備の情報をお示しし、全体像を把握していただきながらご意見をいただく ・議論の状況に応じ、継続して対話していく 令和8年度 8月・11月・2月の3回 説明内容 天守全体のバリアフリー整備内容 スライド3 タイトルページ 1.特別史跡名古屋城跡における天守復元の考え方について スライド4 1(1)事業の目的 特別史跡の整備と歴史的建造物の復元 文化財保護法の目的 文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献すること 特別史跡名古屋城跡保存活用計画 保存 名古屋城の歴史的価値を後世に継承していくため、特別史跡全体の保存管理を厳格に行う 活用 往時の姿と歴史的価値を正確にわかりやすく伝えるとともに、名古屋城の魅力を向上させる 本質的価値を構成する諸要素・歴史的経緯を示す諸要素・その他の諸要素 ・現存遺構の厳格な保存管理、適切な修復整備 ・城跡の風致を向上させる植栽管理、適切な植栽整備 ・適切な範囲・方法での公開 ・展示施設など諸施設の充実、整備 本質的価値の理解を促進させる諸要素 ・失われた石垣・土塁・堀・建造物等の復元整備等 適切な復元により本質的価値を顕在化するための史跡等における歴史的建造物の復元の在り方(文化庁資料「天守等の復元の在り方について(取りまとめ)」) 歴史的建造物の復元は、文化財に準じた価値を伝えるための手段として、次の3点を列挙 ・往時の歴史的建造物が失われ、遺構のみとなっている史跡等は、本質的価値が理解されにくい ・歴史的建造物を適切に復元等することは、国民が文化財の価値を享受することにつながる ・史跡等の価値や歴史的事実を正しく伝えていくため、「復元」は、史資料や十分な研究成果を踏まえた学術性に裏打ちされていなければならない スライド5 事業の目的 「特別史跡名古屋城跡の本質的価値の向上と理解促進」 名古屋城天守の特徴・価値 ・徳川家の威信をかけ、近世期最高水準の技術により築城 ・江戸時代を通じて残った天守として日本一の規模を誇る ・日本城郭の見本として姫路城とともに永久保存が決定(明治12年)、旧国宝第1号に指定(昭和5年) 先人の努力により、国内随一の豊富な史資料が遺され、忠実な復元が可能であり、木造復元により、外観のみならず、内部の構造・意匠を含めて可能な限り史実に忠実に木造天守を復元し、江戸期の名古屋城本丸を体感できる歴史的・文化的空間を蘇らせることで、多くの方に、天守を観覧いただき、我が国の優れた文化と歴史、技術をより深く知ってもらう そして、「建築的特徴の理解」・「時代背景の把握」・「江戸期本丸の体験」といった利点・波及により、「伝統技術の継承と実践の場」・「文化観光面の魅力向上」に繋げる。 スライド6 (参考)特別史跡の整備の進め方について 特別史跡名古屋城跡を後世へ確実に継承するとともに、より一層の魅力の向上を図るため、保存・活用を適切かつ確実に進めることが必要 特別史跡の保存・整備・活用にかかる方針について、専門的見地(特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議)からの意見等を踏まえて「保存活用計画」を策定(平成30年) 天守の整備方針(木造復元)については、有識者会議や文化庁からの指導・助言のもと、「保存活用計画」や「本丸整備基本構想」(令和3年)で位置づけ 保存活用計画 保存  史跡を良好な状態で維持し後世に確実に継承するための保存 整備  本質的価値を向上するための保存修理・復元等 活用  史跡の価値を正確に伝え魅力の向上を図るための活用 本丸整備基本構想 本丸全体の基本理念等や将来の姿を示すものとして、近世期最高水準の技術により築城された名古屋城の象徴である本丸の姿を現代に再現 天守は特別史跡の本質的価値の向上と理解促進にとってより大きな効果がある木造復元とする方針 スライド7 1(2)名古屋城天守の特徴 特別史跡名古屋城跡の本質的価値 「特別史跡名古屋城跡保存活用計画」(平成30年5月)一部抜粋 御三家筆頭の尾張徳川家の居城であった城跡 公儀普請によって築城された城跡 ・公儀普請により諸大名20名を動員して築城 近世城郭築城技術の完成期に築城された城跡 ・天守は、五重五階と大規模で当時の最新の形式であった層塔型で築城 徳川家康の意思を強く反映する城跡 ・城下町を都市ぐるみで名古屋に移転 ・家康が自身の強い意志の下に、新たにつくりあげた城跡 徳川幕府の対豊臣方への備えという当時の社会情勢を示す城跡 ・豊臣方への包囲網の中核と東海道の防衛、諸大名への抑止効果を兼ねて名古屋城を築城 天守の特徴(建築的特徴) 規模・構造 ・史上最大の延床面積 ・広大な内部空間 ・巨大な柱・梁 形式・外部の意匠 ・最新の形態である層塔型 ・史上最多の破風(ハフ) ・豪華な金シャチ 内部の意匠 ・格式高い最上階の仕様 機能 ・堅固な天守への経路 ・防衛のための仕掛け スライド8 特別史跡名古屋城跡の本質的価値 「特別史跡名古屋城跡保存活用計画」(平成30年5月)一部抜粋 現存する遺構や詳細な史資料により築城期からの変遷をたどることができる城跡 ・現存遺構から往時の縄張りや近世城郭の完成形を知ることができる城跡 ・管理者が変わる中で各時代に応じて保存・記録と活用がなされてきた城跡 ・現存する豊富で詳細な史資料によって往時の姿を知ることができる城跡 ・近世における改修・改変を詳細にすることができる城跡 現在の名古屋へと続く都市形成のきっかけとなった城跡 ・現在の名古屋の都市形成のはじまりとなった名古屋城築城 天守の特徴(歴史的経緯) 天守は、江戸時代を通じて300年を超えて存在し、旧国宝第1号に指定されるなど記録・修理の充実が図られてきた ・国内髄一の史資料により、天守の往時の姿を詳細に把握可能 ・都市形成の起点であり、天守は名古屋の重要なシンボル スライド9 建築的特徴(規模・構造)  史上最大の延床面積(姫路城の約2倍) 名古屋城大天守 ・規模 五重五階・地下一階 ・石垣から上の高さ 約36.1メートル ・延床面積 約4,425平方メートル ・一階平面 17ケン かける 15ケン 姫路城大天守(国宝) 現存天守で最大規模 ・規模 五重六階・地下一階 ・石垣から上の高さ 約31.5メートル ・延床面積 約2,409平方メートル ・一階平面 13ケン かける 10ケン スライド10 (参考)建築的特徴(規模・構造)他城郭天守 寛永度江戸城(焼失した徳川将軍家の城) ・規模 五重五階・地下一階 ・石垣から上の高さ 約44.8メートル ・延床面積 現存資料からは往時の延床面積の数値を明確に確認できない ・一階平面 18ケン かける 16ケン 徳川大坂城(焼失した徳川将軍家の城) ・規模 五重五階・地下一階 ・石垣から上の高さ 約43.9メートル ・延床面積 現存資料からは往時の延床面積の数値を明確に確認できない ・一階平面 17ケン かける 15ケン 松本城(現存天守・国宝) ・規模 五重六階 ・石垣から上の高さ 約25メートル ・延床面積 1,050.5平方メートル ・一階平面 9ケン かける 8ケン 松江城(現存天守・国宝) ・規模 四重五階・地下一階 ・石垣から上の高さ 約22.4メートル ・延床面積 約1,675.2平方メートル ・一階平面 12ケン かける 10ケン スライド11 建築的特徴(規模・構造)  広大な内部空間 1ケンの大きさについて、他城郭の多くは、京間(キョウマ)(6シャク5スン 約1.97メートル)であったが、名古屋城大天守は、大京間(オオキョウマ)(7シャク 約2.12メートル)を採用 天守内部の大部屋 3ケン四方(18畳)を超える部屋が珍しい中、名古屋城天守は、3ケン四方より大きな部屋が17室存在 二階平面図として、北側に18畳・30畳・18畳の3部屋が並び、真ん中に40畳・40畳・30畳・40畳の4部屋が並び、北側に18畳・30畳・18畳の3部屋が並び、これらの10部屋を囲むように四辺に廊下である入側(イリガワ)が描かれた昭和実測図を掲載 特に大きな部屋として、1階には42畳(7ケン かける 3ケン)・38畳(5ケン かける 4ケン)の2部屋、2階には40畳(5ケン かける 4ケン)・40畳(7ケン かける 3ケン)・40畳(7ケン かける 3ケン)の3部屋がある 高さ等 一階入側(イリガワ)の南北方向 17ケン(約37メートル) 三階入側(イリガワ)の階高 7.5メートル スライド12 建築的特徴(規模・構造) 300年を超えて天守を支えた巨大な柱・梁 名古屋城天守は、優れた構造と巨大な柱と梁により、明治24年の濃尾地震にも耐えた 複雑に組まれた柱・梁 一階御物置 梁の太さ 75センチメートル(中径)・85センチメートル(末口) 二階入側 隅柱の太さ 41センチメートル 平面規模が同じ一・二階は、通し柱(トオシバシラ)が多用されている スライド13 建築的特徴(規模・構造) 300年を超えて天守を支えた巨大な柱・梁 天守最長の松梁(マツバリ) 二階の四十畳の大部屋の天井部に三階の床を支える長さ16メートルの松梁(マツバリ)があり、長手方向の5ケンの梁を当該松梁(マツバリ)の上で継ぐ スライド14 建築的特徴(形式・外部の意匠)  当時、最新の形態である層塔型天守 江戸時代に天守台の石垣築造技術が発達 長方形の天守台を築造できるようになり、1階から同じ規格の建物を規則的に小さくして積み上げていく層塔型天守を建てられるようになる 名古屋城天守は、入母屋造(イリモヤヅクリ)の建物の上に方形の建物を乗せる旧型の望楼型ではなく、当時の最新の形態である層塔型で建てられ、全体として均整のとれた姿 参考 現存12天守の分類 望楼型天守 犬山城、姫路城、彦根城、松江城、高知城、丸岡城 層塔型天守 弘前城、松本城、備中松山城、丸亀城、松山城、宇和島城 スライド15 建築的特徴(形式・外部の意匠)  史上最多の破風(ハフ)(22個) ・名古屋城天守は屋根の破風(ハフ)が多いことでも群を抜いており、各種破風(ハフ)により華麗な外観を構築 ・破風(ハフ)面に多数の飾り金具(金鍍金仕上・キントキンシアゲ)で装飾 ・寺社建築のように高く反り上がった軒先 入母屋破風(イリモヤハフ)(イリモヤヅクリの屋根の端にある三角形のハフ) 2個 千鳥破風(チドリハフ)(三角形のハフ) 14個 唐破風(カラハフ)(軒先が曲線のハフ) 6個 スライド16 建築的特徴(形式・外部の意匠)  豪華な金鯱(キンシャチ) ・北側のオスが高さ2.58メートル、南側のメスが高さ2.52メートルと破格の大きさ ・厚さ1.5ミリメートルの金の板をかぶせ張りした銅板を張り付ける豪華なつくり 金の量は慶長小判で17,975両相当(約273キログラム) 参考 金の板を張った金鯱の事例 江戸城(ケイチョウ度・ゲンナ度・カンエイ度)、徳川大坂城 江戸期を通じて残ったのは名古屋城天守のみ スライド17 建築的特徴(内部の意匠)  格式高い最上階(五階)の仕様 他城郭の多くは、松・杉等の木材を使用する中、名古屋城天守は、檜を贅沢に使用された 特に、五階は、節の少ない木曽檜が多く使用された 一之間(イチノマ)から 四之間(ヨンノマ) ・廊下の入側(イリガワ)との境には黒漆塗りの舞良戸 ・隣の部屋との境には襖 ・二重の長押(ナゲシ)と六葉(ロクヨウ)の釘隠し ・蟻壁(アリカベ) ・小組格天井(コグミゴウテンジョウ) 入側(イリガワ)(廊下) ・木鼻(キバナ) ・下部に曲線を持たせた梁の加工 スライド18 建築的特徴(機能)  堅固な天守への経路 ・大天守へは小天守を経由しなければならず、小天守地階はコの字に折れ曲がり、入口・出口に鉄板張りの門が設けられた ・大天守の地階入口も直進できない桝形構造となり、鉄板張りの2つの門、口御門(クチゴモン)・奥御門(オクゴモン)が設けられれた(史上唯一) ・床には、鉄砲弾の材料となる鉛の敷瓦(シキガワラ)が設けられた スライド19 建築的特徴(機能)  防衛のための主な仕掛け 狭間(サマ)・石落(イシオトシ) 1階の南入側(イリガワ)において、壁の外に向けて三角形の狭間(サマ)があり、下に向けて石落(イシオトシ)があるガラス乾板(カンパン)写真を掲載 外壁の中込厚板 天守の土壁は、厚さ30センチメートルあり、内部には厚さ12センチメートルのケヤキやカシの板を重ねた形で埋め込まれ、砲弾でも撃ち抜けないよう堅牢な造り スライド20 歴史的経緯 ・名古屋城の築城が始まった1610年(ケイチョウ15年)は、安土城築城によって確立されたと言われる近世城郭築城技術の完成期にあたり、徳川の威信をかけてつくられた名古屋城は、当時の最新の技術が注ぎ込まれた ・明治時代になると、廃城令(1873年)により、多くの城が取り壊されたが、名古屋城の保存を訴える声が多く上がり、明治12年(1879年)に国は、姫路城とともに「全国中屈指の城」として永久保存を決定 ・昭和5年(1930年)に、天守をはじめ24棟が、城郭として初めての国宝に指定(第1号) 参考 旧国宝第2号は姫路城 名古屋城の記録・修理の充実が図られ、昭和実測図の作成やガラス乾板(カンパン)写真の撮影など、国内髄一の豊富な資料が遺されることとなる スライド21 (参考)歴史的経緯 豊富な史資料 ガラス乾板(カンパン)写真 名古屋城全体718枚・天守75枚 主に昭和15年から16年にかけて撮影 昭和実測図 名古屋城全体282枚・天守71枚 昭和7年から実測調査を開始し、第二次世界大戦を挟み昭和27年に完了 文献資料「中井家文書」「金城温古録(キンジョウオンコロク)」「御天守御 修復取掛りより惣出来迄仕様之大法(ゴテンシュゴシュウフクトリカカリヨリソウシュッタイマデシヨウノタイホウ)」等 江戸時代編集 スライド22 (参考)歴史的経緯 徳川将軍家及びその一門の居城の天守 尾張徳川家の名古屋城 1612年 義直(ヨシナオ)入封後に建築 1752年から1755年 ホウレキの大修理 明治時代 永久保存決定 昭和時代 旧国宝第1号指定 1945年 焼失 江戸時代を通じて300年を超えて存在 記録・修理が充実 1959年 SRC造で再建(外観復元) 東京・大阪に次ぐ三大都市圏の中枢都市へと発展した名古屋のシンボル 徳川将軍家の江戸城 3回(1607年・1623年・1638年)建築 1657年 焼失 徳川将軍家の大坂城 1626年 豊臣氏滅亡後に江戸幕府が建築 1665年 焼失 徳川将軍家の二条城 2回(1606年・1626年)建築 1750年 焼失 徳川将軍家の駿府城 将軍職を退任した家康の居城 3回(1589年・1607年・1608年)建築 1635年 焼失 紀伊徳川家の和歌山城 前領主の浅野氏の天守を利用 1846年 焼失 1850年(幕末期) 再建 1945年 焼失 水戸徳川家の水戸城 御三階櫓を建築し、天守代わりに使用(1609年) 1764年 焼失 1766年 再建 1945年 焼失 越前松平家の福井城 1606年 秀康(ヒデヤス)入封後に建築 1669年 焼失 会津松平家の若松城 前領主の加藤氏の天守を利用 1868年 戊辰戦争で損傷 1874年 解体 スライド23 1(3)木造復元における現代設備の設置 基本的な考え方 事業目的「特別史跡名古屋城跡の本質的価値の向上と理解促進」 復元の考え方は、 可能な限り史実に忠実な復元 史資料の調査研究に基づき、規模・構造・形式等に高い蓋然性を確保 観覧のための環境整備 万一の地震・火災への安全性確保や、バリアフリー等の現代設備を設置 を両立させつつ、本質的価値の理解につながるよう、歴史的事実を正しく伝える 現代設備の考え方は 事業目的の範囲で、付加的・仮設的に現代設備を設置 ・事業目的の範囲では、史実性との調和 ・付加的・仮設的な現代設備の設置では、可逆性の確保  スライド24 史実性との調和  天守全体の忠実性を追求しつつ、史実性や歴史的空間の再現性を確保すべき重要な箇所と、必要な現代設備を設置する箇所を整理 天守の特徴 名古屋城は、徳川家の威信をかけ、近世期最高水準の技術により築城され、本丸の核となる天守は、江戸時代を通じて残った天守として日本一の規模を誇り、日本城郭の見本として永久保存決定、旧国宝1号指定 規模・構造 ・史上最大の延床面積 ・広大な内部空間 ・巨大な柱・梁 形式・外部の意匠 ・最新の形態である層塔型 ・史上最多の破風(ハフ) ・豪華な金鯱 内部の意匠 ・格式高い最上階の仕様 機能 ・堅固な天守への経路 ・防衛のための仕掛け 梁・柱等の主架構は、伝統的な木造軸組建築の形式及び構造上の重要な構成要素 巨大な柱や梁が複雑に組み合わされ、世界最大級の木造建築として、広大な内部空間を構成するとともに、層塔型の形式や破風(ハフ)等による名古屋城天守の特徴的な形態を構築し、300年を超えて存在 主架構は、名古屋城天守の価値・特徴を理解する上で根幹となる部分(特別史跡名古屋城跡の本質的価値を表すための重要な要素) スライド25 可逆性の確保  「再現する建造物の規模や構造等を変更せず、当時の姿に戻すことができる形で、付加的、仮設的に設置する場合には「復元」とすることは可能である」 文化庁の見解(口頭) 可逆性の確保が困難なものから順に、主架構の構造部材(柱・梁・桁・土台)、その他の構造部材(床板・板壁・貫(ヌキ)・根太(ネダ)・野地板(ノジイタ)・破風板(ハフイタ) 等)、仕上げ・装飾(天井・長押(ナゲシ)・瓦・銅板・漆喰・六葉(ロクヨウ)・飾金具(カザリカナグ)・金鯱 等)、付属物(建具・畳 等) 主架構の一部を取り除いて再現した場合、仮に、技術の進展等により現代設備を撤去することとなっても、当時の姿に戻すことは困難 スライド26 現代設備の設置の考え方 史実性との調和 天守全体の忠実性を追求しつつ、史実性や歴史的空間の再現性を確保すべき重要な箇所と、必要な現代設備を設置する箇所を整理 主架構は、名古屋城天守の価値・特徴を理解する上で根幹となる部分 可逆性の確保 再現する建造物の規模や構造等を変更せず、当時の姿に戻すことができる形で、付加的、仮設的に設置 主架構一部を取り除いた場合、技術の進展等により現代設備を撤去した場合でも、当時の姿に戻すことはできない 専門家の意見や他城郭の事例も踏まえて次のように行う ・少なくとも、名古屋城天守の形式・構造上重要な柱・梁等の主架構を変更できない ・本質的価値の理解を妨げることのないよう、設置場所、形態、意匠等に十分な配慮・工夫を行う スライド27 (参考)過去の有識者会議での主な意見 ・天守の中で 5ケン かける 4ケン という巨大な部屋は、現在残っていない。天守の梁の長さは、一般的に3ケンまで。名古屋城天守の 5ケン かける 4ケン の部屋は、4ケンの特別大きな大梁を渡し、5ケンの方向については、その梁の上で継いで支えている。木造復元をした時にどこが一番見せ場なのかをよく考えることが必要 ・どの部分の史実を守って、どの部分を守らず利便性を優先するかが大切。見学者が直接入ってみるところ全てではなく、特に重要な見せ処は史実に忠実でなければならない。守らないといけない史実の例としては天守の骨組。柱や梁などの主架構を変更すると木造建築として成り立たたない ・柱や梁といった基本的な骨組みを傷めないのは重要なこと。大きな穴を開けてエレベーターを設置すれば、将来より良い昇降技術ができても、その穴を塞ぐために全て解体し組み直さなければならないが、柱や梁を傷めなければ部分的な取り外しで対応できる スライド28 (参考)可逆性の確保の例 名古屋城天守の増設階段(3階から4階) ・3階から4階に増設する階段は、一部床板等は取り外すが、柱・梁等の主架構を変更しないかたちで設置 ・建物構造に組み込まず、付加的な設置方法とすることで、比較的容易に、本来の姿に戻すことが可能 姫路城大天守(国宝)においても、同様の方法で階段を増設している スライド29 タイトルページ 2.大型エレベーターの設置検討について スライド30 2(1)エレベーター設置にかかる検討経緯 経緯 平成28年3月  優先交渉権者から、小型仮設エレベーター(4人乗り用・4階まで)の提案 平成29年11月  エレベーターを設置せず、代替案(チェアリフトの設置等)で車いす使用者等の合理的配慮を目指す方針案を名古屋城の有識者会議に示す 当事者への事前相談なくエレベーター不設置の方針を公表したことへの抗議・公開質問 平成29年12月  庁内会議・有識者会議において、木造天守のバリアフリーを検討 エレベーター設置について複数案の検討と課題の整理 ・技術提案に基づく内部エレベーター(4人乗り) 到達階は3階または4階 ・内部エレベーター(11人乗り) 到達階は4階 ・外部エレベーター(11人乗り) 到達階は1階 平成30年5月  エレベーターを設置せず、新技術の開発等を通じてバリアフリーに最善の努力をするとした「付加設備の方針」を公表 スライド31 (参考)優先交渉権者からの技術提案(平成27年度) 小型仮設エレベーター(4人乗り用)の設置を検討する提案 優先交渉権者技術提案書(一部抜粋) 調査・協議により付加の可能性のある検討項目 大天守内には、地層から4階まで車いす用仮設エレベーターの設置を検討します(初層で乗換)。4層から5層までは階段の手摺に設置するタイプのチェアリフトを検討します。 スライド32 (参考)エレベーター設置検討と課題整理(平成29年から平成30年) 史実との乖離 第1回特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議資料一部抜粋(平成30年4月) 内部エレベーター・4人乗り・到達階は3階 ・大梁を一部切欠く程度であるが、一部「史実」との乖離が生じるものと考えられる。 内部エレベーター・4人乗り・到達階は4階 ・大梁を1か所切断する上、避難階段の設置が必要となった場合には、大梁を更に1か所切断する必要があり「史実」との乖離が比較的大きくなるものと考えられる。 内部エレベーター・11人乗り・最高で到達階は4階 ・柱や大梁を大幅に切断し、鉄骨などにより建物を補強する必要があるため、「史実」と大幅に乖離するものと考えられる。 ・到達階を4階とするエレベーターを設置し、4階から避難階段の設置が必要となった場合には、大梁を1か所切断する必要があり「史実」との乖離が更に大きくなる。 外部エレベーター・11人乗り・到達階は1階 ・外壁に史実にない開口部を新規に設置する必要があることや、特別史跡の景観上好ましくない影響を与えることなどが考えられ、木造天守への影響範囲は小さいが、「史実」との乖離が生じるものと考えられる。 スライド33 (参考)エレベーター設置検討と課題整理(平成29年から平成30年) バリアフリーに関する課題 第1回特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議資料一部抜粋(平成30年4月) 内部エレベーター・4人乗り ・エレベーターが狭いため、一般的な車いすや電動車いすなどへの対応ができない。(かご寸法奥行100センチメートル かける 間口80センチメートル) ・最上階への登城は困難 内部エレベーター・11人乗り ・電動車いすへの対応も可能であるが、最上階への登城は困難 外部エレベーター・11人乗り ・電動車いすへの対応も可能であるが、遺構を毀損しない基礎構造とする必要があるため、到達階が1階に限定 遺構を毀損しないよう、現天守閣の外部エレベーター(地上から1階)の基礎を利用することを想定 スライド34 (参考)エレベーター設置検討と課題整理(平成29年から平成30年) 内部エレベーター・4人乗り・到達階4階 昇降路に必要な寸法 1,600ミリメートル かける 1,500ミリメートル 影響のある主架構 梁6本 昇降路に必要な寸法は垂直昇降設備と同じであるが、エレベーターは地階から4階まで一気通貫となるため、主架構に影響 スライド35 (参考)エレベーター設置検討と課題整理(平成29年から平成30年) 内部エレベーター・11人乗り・到達階4階 昇降路に必要な寸法(離隔距離含む) 5,300ミリメートル かける 5,450ミリメートル 影響のある主架構 梁29本・柱10本 スライド36 (参考)エレベーター設置検討と課題整理(平成29年から平成30年) 地震の揺れで、木造天守は大きく変形するが、鉄骨造のエレベーターは変形が小さいため、木造天守の主架構(梁・柱)等とエレベーター昇降路が干渉 離隔距離を含め、大きな設置スペースが必要 鉄骨造のエレベーター昇降路は「2.9メートル かける 3.05メートル」の大きさだが、木造天守の主架構(梁・柱)を昇降路から約1.2メートル離す必要があるため、その離隔距離も含めると、「5.3メートル かける 5.45メートル」の範囲で柱・梁を取り除く必要がある スライド37 2(2)大型エレベーター設置にかかる影響 内部エレベーター・24人乗り・到達階5階を設置した場合 昇降路に必要な寸法(離隔距離含む) 設置スペース 6,650ミリメートル かける 6,800ミリメートル 11人乗りエレベーター(到達階4階)に比べ、昇降路や建物側との離隔距離を大きくすることが必要 鉄骨造のエレベーター昇降路は「3.45メートル かける 3.4メートル」の大きさだが、木造天守の主架構(梁・柱)を昇降路から約1.5メートル離す必要があるため、その離隔距離も含めると、「6.65メートル かける 6.8メートル」の範囲で柱・梁を取り除く必要がある 地階から五階まで一気通貫の大規模な吹き抜け空間を設置することとなり、本質的価値の理解や建物構造を維持する上で重要である主架構に梁100本、柱42本に影響 エレベーターの設置場所は、天守の間取りや階段位置等を踏まえて、天守中央北西側の配置を前提 スライド38 本質的価値の理解への影響 構造 ・本質的価値の理解にとって根幹となる天守の主架構(梁100本、柱42本)を大幅に取り除くこと等が必要 ・三階床を支える天守最長の松梁(マツバリ)の月山松(ガッサンマツ)を取り除くため、当該梁上で五ケン継いでいる特徴的な木架構の技術を再現不可 間取り ・天守最大級の部屋である、二階の四十畳の大部屋(5ケン かける 4ケン)を再現に影響 ・三階から四階、四階から五階の表階段(北階段)を再現できず、史実と異なる位置への変更が必要 内部の意匠 ・格式高い仕様となっている五階の4部屋のうち、2部屋の三之間(サンノマ)と四之間(ヨンノマ)の再現に影響 ・五階入側(イリガワ)(西・北側)の木鼻(キバナ)や加工された梁の再現に影響 天守の構造、間取り、内部の意匠など、特別史跡名古屋城跡の本質的価値の理解において重要な史実や歴史的空間を再現できない(可逆性の確保不可) スライド39 構造上の影響 現在の構造計画 木造天守は、建築基準法と同等の耐震性を確保することとしているが、史実のままでは必要な耐震性能を有さないため、壁内部に揺れを吸収する装置を設置することで、構造耐力を確保する計画 大型エレベーターの設置により、構造上重要な主架構を大幅に取り除くこととなるため、そのままでは木造建築の構造が成り立たない ・取り除くこととなる主架構(梁100本、柱42本)等が負担していた天守自重や地震力等を、別の架構等で負担させることが必要 ・地震力は建物全体で負担するため、昇降路部分の補強だけではなく、昇降路部分に繋がる柱・梁等の強度を確保するなど、建物全体の強度のバランスを取りながら、「復元」の範疇を超えて、広範囲に補強が必要 ・昇降路周囲の離隔部分は吹き抜け空間のため、各階で地震時に安全に可動する床・壁で接続する必要があり、実現性に課題(四階・五階でさらに柱・壁を取り除く必要がある) スライド40 構造上の影響 前提 伝統的な木造軸組建築の架構を主体として耐震性を確保 想定1 史実の木架構に鉄骨部材を付加設置 ・昇降路範囲外において、史実の木架構を再現することができるが、多数の鉄骨補強を設置することとなり、歴史的空間の認識のしやすさや、観覧動線等に影響 想定2 木架構のサイズアップ ・木架構の寸法が史実と乖離し、歴史的事実を正しく理解することができない ・既に調達した木材を利用することができず、また、現状より大きな木材の調達も困難 昇降路設置により構造上重要な主架構を大幅に取り除くことなるとともに、現計画において必要な耐震性能を確保するために広範囲に設置している地震の揺れを吸収する装置の設置範囲を減らすこととなるため、伝統的な木造軸組建築の架構を主体とした場合、建物全体の安全性を確保することは困難 スライド41 構造上の影響 伝統的な木造軸組建築の架構を主体として耐震性を確保することは困難であるが、どのような方法であれば、大型エレベーター(24人乗り・到達階は5階)を設置できるのかを確認する観点から、復元の範疇を大きく超えた場合についても整理 鉄骨架構を主体として耐震性を確保 想定1 主架構を鉄骨に置き換え(木仕上げ) ・天守の主架構を鉄骨に置き換えて耐震性を確保し、鉄骨部材に仕上げ材として加工した木材を付けることで、見かけ上、木造風な空間をつくる 想定2 史実の木架構と独立した鉄骨架構を設置 ・昇降路範囲外の木架構は維持した上で、木造天守の壁や天井に穴を空け、独立した鉄骨架構を建物内部全体に設置 いずれも鉄骨架構で地震力を負担するため、建物自体の揺れが抑えられ、昇降路の設置範囲は小さくすることが可能 事業目的等を踏まえて比較検討し、想定2の場合を想定した影響を整理 スライド42 (参考)構造上の影響 鉄骨架構を主体とした補強方法の比較 主架構を鉄骨に置換し木仕上げした場合 高い蓋然性を確保することで、名古屋城天守の建築的特徴や歴史的事実の理解に資する「本質的価値の理解」  昇降路範囲はバツ 昇降路範囲の木架構は再現不可(可逆性無) 昇降路範囲外はバツ 鉄骨を木仕上げとすることで、見かけ上、木造風な空間をつくる(可逆性無) 伝統的な木造軸組建築を実践する場として、伝統技術の継承に資する「伝統技術の継承」  バツ 主架構が鉄骨造となり、伝統工法の実践、技術の継承が不可 適切な維持修繕により、伝統的な木造建築として長期間(数百年)にわたる維持存続ができる「長期間の維持存続」 バツ 主架構が鉄骨造となり、長期間の維持存続は困難 長期的に採用された実績を有するなど実現性があり、必要な耐震性能の確保するための効果が期待できる「構造安全性の実現」 マル 鉄骨造で建物全体の耐震性を確保可能 史実の木架構と独立した鉄骨架構を設置した場合 高い蓋然性を確保することで、名古屋城天守の建築的特徴や歴史的事実の理解に資する「本質的価値の理解」  昇降路範囲はバツ 昇降路範囲の木架構は再現不可(可逆性無) 昇降路範囲外はバツ 昇降路範囲以外の木架構を再現可能だが、多数の独立した鉄骨架構が内部に設置され観覧上影響(可逆性無) 伝統的な木造軸組建築を実践する場として、伝統技術の継承に資する「伝統技術の継承」  サンカク 昇降路以外は伝統工法の実践、技術の継承が可 適切な維持修繕により、伝統的な木造建築として長期間(数百年)にわたる維持存続ができる「長期間の維持存続」 サンカク 鉄骨架構に可逆性があり、修繕等が可能だが、鉄骨架構の解体・復旧方法には課題 長期的に採用された実績を有するなど実現性があり、必要な耐震性能の確保するための効果が期待できる「構造安全性の実現」 マル 付加した鉄骨架構で建物全体の耐震性を確保可能 スライド43 構造上の影響(史実の木架構と独立した鉄骨架構を設置) 断面イメージは触知図参照 スライド44からスライド46まで 構造上の影響(史実の木架構と独立した鉄骨架構を設置) 断面イメージを平面イメージで示した図を掲載 スライド47 構造上の影響(史実の木架構と独立した鉄骨架構を設置) 内観イメージとして、二階の四十畳の部屋、五階の二之間(ニノマ)と三之間(サンノマ)の部屋に鉄骨架構を設置したイメージを図示 スライド48 課題等 石垣等遺構の保存 ・史実の木架構に、鉄骨架構を付加することとなり、全体的な天守台への荷重が、現天守閣より増加する可能性があり、天守台を含めた石垣等遺構に影響の調査・検討が必要 建物構造の検討 ・史実の木架構と鉄骨架構を一体的な構造とするための接合方法について、現天守解体後に決定する基礎構造を考慮して、詳細な検討が必要 観覧計画の検討 ・内部空間の各所に、鉄骨の柱・梁が出てくることとなり、階段や通路への影響を踏まえた観覧動線や運用の検討が必要 スライド49 2(3)外部エレベーター設置にかかる影響 外部エレベーター(24人乗り・到達階5階)を設置した場合 最上階までの外部エレベーターを設置するには、天守とは別棟で、高さ40メートルを超える巨大な建物を天守に隣接して築造し、各階へ空中通路で接続させるとともに、建物を安全に支えるための相当規模の基礎や地中深くまでの杭を打設することが必要 外部エレベーター棟の想定規模 建物平面サイズ 構造安定性の理由により現在の外部エレベーターより大きな平面サイズが必要 建物高さ 40メートル超(天守最上階屋根の軒下程度) 想定設置場所 消防活動用の空地を確保する必要があることから、現在と同様の位置とする スライド50 設置イメージ 南からの立面イメージは立体地図参照 東からの立面 現在の天守閣の写真に外部エレベーターの箱を付加したイメージを図示 エレベーターの箱は地上から天守最上階屋根の軒下程度までの高さのある直方体になっている 各階での木造天守と空中通路との接続に際し、出入口及びクリアランスのために天守の屋根及び外壁の形状変更が必要な部分が生じることも図示している スライド51 前ページを実際の名古屋城の航空写真に、外部エレベーターをつけたイメージを挿入した写真 スライド52 石垣等遺構保存上の影響 地下遺構 ・外部エレベーター棟を支えるための相当規模の基礎と支持地盤に達する杭が必要であることや、工事に際して、基礎周辺を含めた広範囲の掘削を行うこととなるため、特別史跡名古屋城跡における地下遺構を大きく毀損する可能性がある 石垣(天守台・不明門(フメイモン)周辺) ・大天守東側へ外部エレベーター棟の設置を想定した場合、外部エレベーター棟の基礎工事に際して、不明門(フメイモン)付近の桝形を構成する石垣の撤去を行うことは、特別史跡の石垣の毀損になる。また、大天守石垣の地盤内の石垣を毀損する可能性がある ・石垣根本付近の掘削は、石垣の構造安全性に悪影響を及ぼす スライド53 技術上の課題 空中通路と木造天守との接続部 ・エレベーター棟と木造天守は、構造上別の建物であり、地震時に別々に揺れることから、干渉しないように空中通路と木造天守を切り離し、可動する床・壁で接続する必要があるが、上階ほど空中通路と木造天守の離隔距離が長くなるため、安全な通路とすることが技術上困難である ・外部エレベーター棟は、高層かつ縦長であるとともに、片側に荷重がかかる非常にバランスの悪い建物であるため、構造上安全な設計とすることができるかは、詳細な検討が必要 スライド54 本質的価値の理解への影響 外部の意匠 ・高さ40メートル超えの巨大な外部エレベーター棟を天守に隣接して建築し、各階へ接続する空中通路が天守の破風(ハフ)や屋根と干渉するため、屋根形状の改変や、出入りのための壁開口を設ける必要があり、名古屋城天守の歴史的な外観への影響が大きい 木造天守と空中通路との接続部の屋根形状の変更は、屋根の構造的・機能的な側面でも悪影響を及ぼす 「景観計画」に定める名古屋城の眺望景観の保全による良好な景観形成を進める中で、本丸、西の丸、東南隅櫓、御深井大堀(オフケオオホリ)等からの眺望景観の保全に影響を及ぼす スライド55 タイトルページ 3.垂直昇降設備の仕様について スライド56 3(1)垂直昇降設備の技術開発の概要 垂直昇降設備の技術開発と木造天守への設置に必要な検討 垂直昇降設備 ・船舶への導入実績のある垂直昇降設備をベースに、建築物である木造天守への導入できるよう、安全性や耐久性を確保した仕様 以上の垂直昇降設備の基本的な仕様・性能が本日の説明内容で、以降の設置範囲の素案と、非常時の安全確保を含めた観覧・運用方法の考え方は検討中であり、次回の5月の説明内容とする。 天守建物側の観覧・運用 ・技術的に設置可能な場所や、観覧動線を踏まえた昇降設備の配置 ・天守内の入場可能人数、スタッフ配置などの円滑な利用に向けた具体的な運用方法 天守建物側の防災・避難 ・出火時等に、通常の建物と同様に昇降を停止し、観覧者の安全を確保するための遮煙区画の形成方法、避難誘導方法、スタッフ配置等 徹底した未然防止を前提とし、万が一の場合も早期覚知・初期消火により対処し、更なる事態発生時には、遮煙区画を形成して避難・一時待機により安全を確保する 天守建物側の構造 ・地震時に、昇降設備利用者を含めて観覧者の安全を確保できるよう、木造天守の梁への昇降設備の取付方法や、構造補強方法等 スライド57 可能な限り上層階までの設置を目指して技術開発等を実施中 設備本体の技術開発 ・船舶への導入実績のある垂直昇降設備をベースに、かご内部の空間を確保しつつ、木造天守の梁と梁の間(約1.5メートル かける 約1.6メートル)に収まるよう小型化 ・安全性や耐久性を確保した仕様を明確化し、試作機製作に必要な詳細設計や第三者機関の評定手続きを実施中 木造天守への導入検討 ・天守への導入可否を前提とした開発を実施中 ・天守各階を前提とした詳細(階高や床開口寸法等)の対応に向けた仕様・設計は今後実施予定 ・導入に向けて福祉都市環境整備指針に準拠する方針で検討 スライド58 3(2)垂直昇降設備の仕様・性能 基本的な仕様 設置方法  木造天守の構造を変更せず、梁の間を通し、レールと制震枠を上階の梁に固定してつり下げ 定員  車いす使用者と介助者の計2名又は、車いすを使用されない方の場合、6人程度が同乗可能 昇降方法  各階で乗り換えながら、上層階までの設置を目指せる技術(技術検討中) スライド59 基本的な仕様 搬送方法のイメージ・船舶の昇降設備の写真を図示 スライド60 垂直昇降設備のかごの大きさ 内寸  奥行1,350ミリメートル かける 幅955ミリメートル 出入口  幅810ミリメートル 積載荷重  500キログラム 定員  車いす使用者と介助者の2名又は、車いすを使用されない方の場合、6人程度が同乗可能 スライド61 (参考)実際の搭乗イメージ 搭乗イメージとして、垂直昇降設備のかごの奥行と幅の範囲に「車いす使用者と介助者1名」「車いす使用者と介助者2名」「大人6名」が収まっている写真を掲載 スライド62 (参考)他城郭のかごのサイズとの比較 垂直昇降設備(開発中) かごの内寸  奥行1,350ミリメートル かける 幅955ミリメートル かごの出入口  幅810ミリメートル 積載荷重  500キログラム 熊本城エレベーター(7人乗り) かごの内寸  奥行1,500ミリメートル かける 幅900ミリメートル かごの出入口  幅900ミリメートル 積載荷重  500キログラム 熊本城のエレベーターは、地下1階から1階及び5階から6階(最上階)は7人乗り、1階から5階は9人乗り JIS規格(JISA4301)エレベーター(11人乗り) かごの内寸  奥行1,350ミリメートル かける 幅1,400ミリメートル かごの出入口  幅800ミリメートル 積載荷重  750キログラム スライド63 各種会議で垂直昇降設備の仕様に関する意見及び対応状況 意見  車いす使用者は、エレベーターには広い出入口や鏡が必要である 対応状況  かごの出入り口は幅810ミリメートルとし、かごの奥面に鏡を設置予定 対応1 意見  昇降設備は、難しい操作が必要でなく、スタッフの補助なしで、みんなが簡単に使えるものとしてほしい 対応状況  かご内部の手すり等の配置及び操作パネルを用いてスタッフの補助なしで対応できるよう検討中 対応2 意見  聴覚障害者は、エレベーターの中でコミュニケーションが取れないため、内部にモニターを設置し、扉は透明にしてほしい 対応状況  かご内の壁面及び乗場付近にモニターを設置して手話等のコミュニケーションを取れるよう検討中 対応3 スライド64 垂直昇降設備の仕様・性能(対応1) かごの正面壁面には鏡を設置 幅810ミリメートル・高さ1,900ミリメートルのかご扉(引き戸)を設置 かご扉には幅150ミリメートル・高さ1,000ミリメートルの窓ガラスを設置(窓ガラスの下限は床上670ミリメートル) スライド65 垂直昇降設備の仕様・性能(対応2) かごの正面壁面の鏡は幅400ミリメートル・高さ1,350ミリメートル かごの両側面には床上825ミリメートルの位置に手すりを設置 かごの両側面には床上1,000ミリメートルの位置に操作パネルを設置 操作パネルのボタンは行先ボタン・「開」ボタン・「閉」ボタン・非常ボタンを設置し、ボタン上部には点字を表示 操作パネルには階数表示・非常運転表示を設置 操作パネルは福祉都市環境整備指針を遵守する方針で検討中 スライド66 垂直昇降設備の仕様・性能(対応3) かご内部や乗場付近にモニターの設置を検討中 モニターの詳細な仕様及び設置位置は今後検討予定 スライド67 運用に関する基本的な考え方 利用対象者  高齢者・障害者等の様々な配慮が必要な方が優先的に利用 スタッフの配置  各乗場に一人ずつ配置するなど、垂直昇降設備の円滑な利用を検討中 設置範囲  検討中 多くの方に木造天守を快適かつ安全に観覧していただけるよう、運用方法のあり方については、当事者の皆様のご意見を伺うとともに、非常時の際の対応等を含めて、今後、詳細な検討を進めていく スライド68 (参考)非常時の安全性能について エレベーター(建築基準法準拠) 非常止め装置  ロープの切断等により、かごの速度が規定値を超えた場合、調速機の動作によって動きを止める安全装置を備える 戸開走行保護装置(UCMP)  エレベーターの戸が開いた状態で走行した場合に検知して直ちに緊急停止させる装置を備える 管制運転  地震・火災・停電などの非常事態を感知し、かごを最寄り階に停止し、戸を開き、稼働停止にする装置を備える 垂直昇降設備(開発中) 非常止め装置  4本チェーンを備え、破断によるかご落下を防止・二重ブレーキ化による異常速度を防止 戸開走行保護装置(UCMP)  床からの移動距離を感知するセンサーや制御装置で停止させる 管制運転  地震・火災・停電などの非常事態を感知し、かごを最寄り階に停止し、戸を開き、稼働停止にする装置を備える スライド69 (参考)階段体験館(ステップなごや)でのアンケート調査 調査期間 令和7年11月30日から令和8年2月1日までの開館日(集計総数117) 階段体験館の木階段の昇降について(昇り) できた 107人 うち、10代以下が7人・20代が20人・30代が7人・40代が21人・50代が18人・60代が20人・70代以上が12人・不明が2人 難しかったけどできた 4人 うち、10代以下が1人・50代が2人・70代以上が1人 できなかった 1人 50代の1人のみ その他 1人 60代の1人のみ 階段体験館の木階段の昇降について(降り) できた 94人  うち、10代以下が7人・20代が19人・30代が6人・40代が19人・50代が18人・60代が16人・70代以上が7人・不明が2人 難しかったけどできた 7人  うち、10代以下が1人・50代が1人・60代が2人・70代以上が3人 できなかった 2人  うち、50代が1人・70代以上が1人 その他 1人 60代の1人のみ スライド70 (参考)階段体験館(ステップなごや)でのアンケート調査 木造天守を想定した昇降について できると思う 89人  うち、10代以下が6人・20代が16人・30代が5人・40代が19人・50代が17人・60代が16人・70代以上が8人・不明が2人 どちらかと言うとできると思う 17人  うち、10代以下が2人・20代が4人・30代が2人・40代が1人・50代が1人・60代が5人・70代以上が2人 どちらかと言うとできないと思う 3人  うち、40代が1人・50代が1人・70代以上が1人 できないと思う 4人  うち、50代が2人・70代以上が2人 他城郭の昇降との比較について(犬山城、彦根城、松本城、姫路城等) 簡単だった 37人 比較的簡単だった 40人 比較的難しかった 8人 難しかった 3人 その他 2人 ・昇りよりも降りの方が難しいと感じる方が多かった ・木造天守を想定した昇降も可能と思う方が多かった ・他城郭の昇降と比較した場合、木造天守の昇降が簡単だと感じる方が多かった スライド71 実物大階段模型(大天守にかけての表階段を再現) 制作範囲  大天守の一階から二階にかけての階段を再現 写真  階段体験館に設置した実物大階段模型の写真を掲載し、途中の踊り場で90度向きを変える階段の様子を掲載 勾配  一階から途中の踊り場までが41.11度の勾配、途中の踊り場から二階までが47.36度の勾配 スライド72 3(3)設置範囲の検討状況 垂直昇降設備の開発と天守建物側の技術検討 垂直昇降設備の開発の検討状況 ・木造天守の地震時の揺れに追従できる構造とするとともに、設備の安全性や耐久性等を確保した仕様を明確化 ・現在、第三者機関の評定取得手続きを実施中 天守建物側の技術検討のうち、観覧計画の検討状況 ・観覧動線等を踏まえた設置場所を検討 天守建物側の技術検討のうち、防災・避難計画の検討状況 ・昇降設備利用者の避難経路や、安全な避難経路・待機場所を確保するための遮煙性能を有する区画の配置・形成方法について見直しを検討 天守建物側の技術検討のうち、構造計画の検討状況 ・木造天守の梁への昇降設備の取付け方法や、柱・梁など主要な構造部材の補強方法などを検討 ・現在、昇降設備の荷重や地震力を考慮して構造計画の検討を実施中 構造計画にかかる第三者機関の評定については、現天守閣解体後の天守台の内部石垣の調査結果を踏まえて基礎構造を確定した後、詳細検討を実施した上で取得予定 スライド73 (参考)現在の構造計画(天守建物側) 地震時に人命の安全が確保ができる構造計画とするため、超高層ビル等で採用される構造計算(時刻歴応答解析)を行い、目標性能を達成するよう構造補強を実施 木造天守は、建築基準法の適用除外(第3条第1項第4号の認定)を想定しているが、第三者機関による客観的な評定を受けることで安全性を確認する 主な補強方法 地震時の揺れを吸収する装置を設置(内部の再現性に影響を与えないよう、壁内部に設置) スライド74 (参考)現在の防災・避難計画(天守建物側) 火災時に人命の安全が確保ができる防災計画とするため、防災・避難設備を付加し、対策の効果を避難計算等により検証し、観覧者が安全に避難できることを確認 木造天守は、消防法については適用され、建築基準法については適用除外(第3条第1項第4号の認定)を想定しているが、第三者機関による客観的な評定を受けることで安全性を確認する 出火防止 ・ITV等による遠隔監視、天守入場者への持物検査 ・展示物等の可燃物量の管理 早期覚知・初期消火 ・煙感知器、係員および消火器の配置 ・スプリンクラー、屋内消火栓等設置 避難安全性の確保 ・3階から4階には、木造階段を1ヶ所付加 ・4階から5階、小天守1・2階は、係員による入場制限 ・5階に救助袋式避難ハッチ設置 安全な避難経路の確保 ・遮煙性能を確保した表階段による避難経路の確保 ・遮煙区画による上階への煙の上昇を抑制 火災被害拡大防止 ・蓄煙、自然排煙利用 スライド75 垂直昇降設備の説明映像 映像1  地上から木造天守内部へのバリアフリー動線(天守内部で垂直昇降設備を利用するイメージ含む) 映像2  可逆性を確保した垂直昇降設備の設置方法