表紙 名古屋城天守閣整備事業の進め方について 1ページ 1 基本的な方針と取り組み (1)基本的な方針 市内部の共通認識と円滑なコミュニケーション ・事業における考え方などの方針をはじめ、市内部で広く共有するために、本事業に係る行動指針を持ち、共通認識及び円滑なコミュニケーションを図る 人権意識の向上と当事者との建設的対話 ・人権感覚を磨き、人権意識を高める ・本事業全体において、当事者参画の場における建設的対話を行う 特別史跡内における整備の丁寧な進め方 ・特別史跡名古屋城跡の本質的価値を構成する石垣等遺構の厳格な保存管理が大前提であるため、史跡整備の基本的な手順を遵守し、有識者等関係者の理解を得ながら進める 市民等への丁寧な説明と理解促進・機運醸成 ・市民等への丁寧かつ十分な情報提供に努め、本事業に対する理解を促進し、機運を高められるように取り組む ・市民等の愛着や誇りを醸成するとともに、記録を適切に保存し、広く発信することで、現天守閣を記憶に留め、後世につなげる (2)取り組み 市内部の共通認識のもと、(1)に基づく取り組みを着実に進める。特に、各方針を推進する上で重要な課題である「復元における史実性とバリアフリーの両立」、「石垣等遺構の保存」、「現天守閣の価値の継承」、「市民等の理解促進と機運醸成」については、重点的に取り組む 2 ページ 2 課題への対応 (1)復元における史実性とバリアフリーの両立 ア 基本的な考え方 ・共生社会の実現を目指す現代における歴史的建造物の復元として適切な事例となるよう、木造天守全体のバリアフリーを進める ・当事者からの意見聴取(ワークショップ)を経て選定した垂直昇降設備については、史実性との両立を図りながら、可能な限り上層階までの設置を目指して検討を進める ・バリアフリーの実現は全ての人の人権につながることであるという認識のもと、行政として、木造天守のバリアフリーを推進する姿勢を明確に示し、新たな対立を生まないよう、市内部の共通認識のもと、市民等へ正しい情報発信を行いながら丁寧に進める イ 当事者参画の進め方 方針決定 ・当事者参画の場を活用し、対話を通じて、どうしたら実現可能かを検討し、丁寧な説明を行いながら、相互理解のもと方針を決定する ・適宜、市民等への情報発信を行い、理解促進を図る ・市長、副市長、当局、健康福祉局はじめ関係局による十分な調整・議論を重ね、本市としての共通認識のもと進める ・史実性とバリアフリーの両立の検討にあたっては、有識者の指導・助言を得ながら進める 方針決定の流れイメージ ・市は有識者へ相談し、指導・助言のもと市としての案を検討し、当事者参画の場で示す ・市は当事者参画の場での意見や要望をふまえてさらに検討し、再度、当事者参画の場に示して相互理解を図っていく ・市は検討した案を当事者参画の場に示すことと併せて、市民理解促進のために、情報発信や意見聴取も行う 市は当事者参画の場や市民理解促進を経たうえで、名古屋城関係の有識者会議に諮って方針決定をする 3ページ 対話期間 ・基本計画・設計段階だけでなく、木造天守完成に向けて、管理・運用面の観点を含め、継続的・段階的に建設的対話を行う 開催方法 ・より丁寧に対話を行うため、月1回の定例の場とは別に、本事業に特化した臨時の場として開催するなど、十分な対話の時間を確保する 出席者 ・出席者は、原則固定としているが、本事業については、変更及び追加可能とする ・当事者の意見・要望を直接伝えるため、必要に応じて、設計・施工事業者等も参加する 主な検討内容 ・当事者の特性に応じたバリアフリー整備の内容を検討する 開催時期 ・令和8年度末に一定のバリアフリー方針のとりまとめができるよう、5回程度の開催を想定する その他 ・適宜、各種会議に進ちょく状況を報告する ・令和9年度以降も木造天守完成に向けて、管理・運用面の観点を含め、継続的・段階的に建設的対話を行う 4ページ ウ 垂直昇降設備の開発に至る経緯と技術開発等の状況 (ア)垂直昇降設備の開発に至る経緯 ・多くの方が木造天守のより上層階まで昇降できる技術を募るために、令和4年度に「名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募」を実施し、木造天守の構造を変更せず設置でき、車いすを使用する方と介助者が同乗して各階で乗り換えながら上層階を目指せる技術を提案した事業者を最優秀者として選定した ・最優秀者と令和5年10月から令和9年3月までの期間で、技術開発業務を契約し、木造天守に取り付けられるよう開発を進めている ・現在、技術的に可能な設置範囲を把握するため、垂直昇降設備本体の技術開発と並行して、設置に伴う建物側の技術検討を進めている (イ)昇降技術本体の技術開発の状況 ・船舶等への導入実績のある垂直昇降設備をベースに、かご内部に十分な空間を確保しつつ、木造天守の柱・梁の間に収まる大きさに小型化 ・木造天守の地震時の揺れに追従できる構造とするとともに、垂直昇降設備の安全性や耐久性等を確保した仕様を明確化し、試作機製作に必要な詳細設計や資料作成等を実施 ・現在、第三者機関の評定取得手続きを進めるとともに、試作機の製作を行っている (ウ)建物側の技術検討の状況 ・垂直昇降設備の設置場所の検討、垂直昇降設備の設置に伴う建物への影響、床と昇降かごとの段差処理などの検討を行い、令和6年度においては、木造天守の梁への設備の取付け方法や、柱・梁など主要な構造部材の補強方法などの検討を行った ・現在、観覧計画及び構造計画の検討や、避難誘導方法など防災計画の見直しを進めている 5ページ (エ)開発中の垂直昇降設備の仕様 かごの内寸 ・奥行1,350ミリメートルかける幅955ミリメートル かごの出入口 ・幅810ミリメートル 積載荷重 ・500キログラム(車いす使用者1名と介助者1名が同乗可能) イメージ(図) ・垂直昇降設備は約1.5メートルかける1.6メートルの梁と梁の間のスペースの中で(人が乗る)かごが昇降できるよう、レールと制振枠を上階の梁に固定して吊り下げることにより、かごがレールに沿って昇降することを目指す ・垂直昇降設備の設置については、木造天守の柱・梁などの構造を変更せず、レールと制振枠を上の階の梁に固定して吊り下げ、下の階と切り離す形で設置することとなるため、地震の揺れにも追従する仕組みとなる (オ)今後の予定 ・垂直昇降設備の安全性や耐久性等について第三者機関による評定の取得を目指す ・製作した試作機のかご等を階段体験館(ステップなごや)に展示し、本技術を広く市民に周知する ・昇降技術開発の状況及び建物側の技術検討状況等を踏まえ、観覧計画などの検討や、運用方法を含む垂直昇降設備の設置範囲の検討を行う ・構造計画については、現天守閣解体後の大小天守台の内部石垣(穴蔵石垣)の調査結果を踏まえて基礎構造を確定した後に、詳細検討を実施する 6ページ (2)石垣等遺構の保存 ア 基本的な考え方 特別史跡名古屋城跡の本質的価値の主たる構成要素である「加藤清正の築いた壮大な大小天守台」をはじめとする近世期から残存する石垣は、その現状を維持するよう厳格な保存管理を行う イ 天守台及び周辺石垣の保存対策 (ア)概要 ・本事業を予定している範囲の天守台及び周辺石垣について、現天守閣の解体及び木造天守の復元を見据え、これまでの調査で把握した石垣の劣化等に対して、保存を目的とした対策を実施する ・令和5年度にとりまとめた石垣保存の方針に基づき、劣化状況や人の動線などを考慮し、優先的に保存対策工事を行う必要がある石垣面から設計を進めており、設計が完了し、現状変更許可を取得した石垣面(天守台北側の対面の石垣)について、令和6年度から、順次、工事を実施している (イ)天守台北側の対面の石垣の状況(写真) 補修を実施している天守台石垣北側の石垣の施工前写真(西から) (ウ)今後の予定 引き続き、文化庁や有識者の指導・助言を得ながら、現天守閣解体と木造復元を一体とした現状変更許可の取得までに、必要な保存対策工事を実施する 7ページ (3)現天守閣の価値の継承 ア基本的な考え方 本市のシンボルである現天守閣について、市民等の愛着や誇り、記録や価値、思い出等を保存・活用することで後世に継承する イ 今後の予定 (ア)記録の保存 映像の制作 ・これまでの記録を活用し、現天守閣の開館当時の動線や展示内容等を再現する映像を制作する 解体時の記録・活用 ・建築物としての歴史的・構造的に重要な部分についての躯体の内部構造等を記録し、活用する (イ)記憶の継承 市民アーカイブの推進 ・現天守閣にまつわる写真や映像、資料、エピソード等、市民生活とともにあった現天守閣への想いを収集し、アーカイブとして可視化を図る ・市民等から多くの関心を集めてきた現天守閣の歩みを実感できるよう、新聞や雑誌等の記録を収集し、アーカイブとして可視化を図る 「もの」による記憶の継承 ・現天守閣の部材を活用した展示やグッズ等を制作することにより、現天守閣に対する人々の想いや記憶を継承する 8ページ (4)市民等の理解促進と機運醸成 ア 基本的な考え方 現天守閣の再建時と同様に、本事業に対する市民等の理解促進と機運醸成を図り、共に復元を推進する イ 今後の予定 (ア)理解促進 市民向け説明会及びシンポジウムの開催 ・事業の意義や進ちょく状況、今後の進め方等を丁寧に説明する市民向け説明会や、本質的価値の理解を促すシンポジウムを開催する 名古屋城公式ウェブサイトにおける情報発信 ・本事業の進ちょく状況等を分かりやすく伝えられるようウェブサイトを再構成する (イ)機運醸成 機運醸成イベント等の実施 ・本事業を応援いただく事業者等(金シャチパートナー)と連携し、機運醸成に向けたイベント等を実施する 現天守閣の芳名板の活用 ・現天守閣再建当時の市民等の盛り上がりを実感できるよう、現天守閣の芳名板を展示する デジタル技術を活用した木造復元後の天守映像 ・木造復元後の荘厳な天守を体感できるよう、VR(バーチャル・リアリティー)映像を制作する 階段体験館(ステップなごや)の有効活用 ・現天守閣にまつわる展示や、没入感のあるVR(バーチャル・リアリティー)映像等の体験を通じ、機運醸成を図る施設として活用する 9ページ 3 事業の流れ 木造天守復元について 解体と復元を一体とした全体計画の検討として、復元原案を策定 復元計画として「構造計画」、「防災計画」、「設備計画」を策定 今後、「バリアフリー方針」を決定し、整備基本計画をとりまとめる 文化庁の復元検討委員会へ整備基本計画を提出し、現状変更許可、現天守閣解体、穴蔵石垣の調査を踏まえ基礎構造を決定、整備基本計画の修正、現状変更許可を経て復元 史実性とバリアフリーの両立について 昇降技術開発を進める中、市民討論会における差別事案を受け、検証委員会での検証および最終報告を受領、最終報告を踏まえた名古屋城天守閣整備事業の総括を議会へ報告。その後障害者団体等へ総括を説明 今後、建設的対話によるバリアフリーの検討を進め、バイアフリー方針を決定。整備基本計画にとりまとめる 基礎構造決定後、木造天守へ取り付ける昇降機の制作をし、木造天守へ導入する 石垣等遺構の保存について 石垣の調査を実施し、石垣の保存方針を決定 天守台石垣の保存対策を進めている 現天守閣解体後、穴蔵石垣の詳細調査を実施 基礎構造を決定し、整備基本計画を修正 木造天守復元後、天守台石垣の保存対策を実施 現天守閣の価値の継承について 現天守閣の記録の保存を実施するとともに、記憶として継承していく 理解促進と機運醸成について 名古屋城天守閣整備事業の進め方に係る市民等への説明を経て、市民等の理解促進と機運醸成に係る取り組みを実施