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名古屋城プレミアムトークステージ 第3弾

日時 平成25年10月12日(土) 13:30~15:45
会場 名古屋城 西の丸展示館
プログラム 講演「“いなし”の文化」
  涌井 史郎さん(東京都市大学教授)
名勝 名古屋城二之丸庭園の紹介
  小幡 俊一(名古屋城総合事務所主幹)
トークセッション「本丸御殿・二之丸庭園整備への期待」
  [出演者] 涌井 史郎さん
  [司会者] 佐藤 正幸 (名古屋城総合事務所長)

涌井 史郎 さん

涌井 史郎 さん

 造園家として「愛・地球博」の会場演出、総合プロデューサーを務め、多摩田園都市、全日空万座ビーチホテル、ハウステンボス、東急宮古島リゾート等の計画・デザインを手掛けるなど、緑化事業の第一人者。平成17年には黄綬褒章を授与される。
 現在、(社)国際観光施設協会副会長、岐阜県立森林文化アカデミー学長、中部大学学術高等研究所客員教授。TBS「サンデーモーニング」ほかテレビ番組にコメンテーターとして出演中。

講演「“いなし”の文化」   涌井 史郎 さん

[講演の概要]

●自然の力をいなす知恵

 日本ほど美しい国土を持った国は他にはない。日本の美しさは、火山活動、台風、大雨などでつくられた。このような日本の国土と付き合っていくためには自然を読み取る力、すなわち「いなす」知恵が必要。

 例えば、日本は世界の中でも豪雪地帯であり、雪や雨は川だけではなく、地表面を流れる。それを巧みにコントロールするために、河畔林をつくり、水田に水をため、川や海に一挙に水を流さないようにし、災害を防止した。長さ40万km、地球10周分の農業用水を1000年かけてつくり、自然をいなす方法をとった。

 日本は自然に対して、力で対抗するのか、受け流しながらいなすのか、どちらを選択するのか問われている。

●美しき日本=自然との共生

 美しいと感じる風景には必ず理由がある。人間の暮らしをどのように自然の中に持ち込むのかというせめぎ合いや語り合いが、日本の風景を美しくしている。最も美しい山村だと言われている新潟県山古志村の棚田があるが、棚田の起こりは米を作るためのものではなく、表層の土砂崩壊を防ぐためのもの。

 里山は他の物質、エネルギーが無くても、自立的に暮らせるところで、自然と共生する世界をつくり出してきた証拠。

 人口が増えた幕末から第二次大戦中まで全国がはげ山になった。ただ砂防工事をやるだけで山は元に戻った。そこに博覧会をやろうと計画したのが愛・地球博。

 日本人は、人間も自然を構成しているという自然観。都市を取り巻くところには農地、里山、寺社林、庭園など常に緑があり、自然共生、循環型の社会をつくってきた。

 自然と共生する思想があらわれているのが日本庭園。奥山を借景に取り込み、築山で里山をあらわし、川の流れを滝、池で表現した。庭園は美しさの表現としてすごいというだけではなく、日本人の自然観、環境に対する思想があらわれている。

●持続的な未来のために

 COP10の重要課題である生物多様性、生物の恵みを失う可能性、生命圏そのものが危うい状況になっている。生命圏こそが庭園だと思う。庭園は古代ヘブライ語で「囲われた楽園」。地球は囲われた楽園だと思うが、人が大きく手を入れて、自滅しようとしている。

 COP10は生物多様性が失われていることに対してどうするかということ。我々が選ぶべき道筋は、循環型・共生型社会、つまり世界を庭園にすること。未来の子どもたちのために、限られた資源をどう届けるのか、社会構造そのものを見直さないといけない。
愛・地球博、COP10を名古屋で引き受けたのは、名古屋がモノづくりと自然共生を常に模索し、未来を創造してきたから。

●本丸御殿復元の意義

 本丸御殿の復元は、伝承されてきた匠の技を次の世代に伝承する大きなポイントとなる。木造軸組み構造のものを建てるには、木質、木のくせを読むことが必要になる。

 本丸御殿の復元事業には、市民に声をかけ、森を戻そうとする取り組みがある。山元にまで自然共生、循環型社会の思想を反映させていることがこの事業の素晴らしいところ。

 本丸御殿の復元はランドマークの再生のみならず、環境革命の時代に向けた名古屋スタイル、自然と共生し、循環型の社会をつくることの発信に寄与する。

●日本庭園とは

 昔は、全国の名所を見たいということで、写し、見立てという方法をとった。日本庭園は見立ての結晶。また、水の勢いの減じ方を見立てるため、庭園に滝、川をつくった。水がないところでは砂紋で写し、見立てをした。

 名古屋の藩主は、江戸下屋敷の戸山荘に小田原宿を再現し、自分で団子を焼いて他の大名にふるまった。軍事教練であり、治水であり、大名の楽しみのためでもあり、庭園は様々な形で展開してきた。

●「磁力」が持続的発展の原動力

 都市は今まで魅力で語られてきたが、その都市に対する誇りと愛着が生み出す磁力こそが、未来への持続的発展を促す原動力となると思う。名古屋は名古屋城という魅力を磨き上げ、祖先がどういう精神を築いてきたのかを学び、様々な文化を十分に見直し、愛着と誇りをしっかりと共有することが磁力となる。城の外に楽市楽座のようなものを考えているようだが、そういうことを含めて、名古屋を名古屋らしいものにするにはどうするかが重要。

名勝名古屋城二之丸庭園の紹介

名古屋城二之丸庭園の歴史、現在実施している修復整備について紹介。

トークセッション

[出演者] 涌井 史郎 さん
[司会者] 佐藤 正幸 

[トークセッションの概要]

(佐藤)この地域を大きく変えた契機となった愛知万博の思い出は。
(涌井)国際博覧会協会が感謝状の贈呈を総会で議決したのは愛・地球博だけ。それは、環境問題に真剣に取り組んだこと、ボランティアが13万人集まり、うち65歳以上が30数%だったから。市民の力で実現できたことが思い出。

(佐藤)市民参加をテーマに掲げ、どうコーディネートするか手探りだった。
(涌井)博覧会150年の歴史で、第1のエンジンは国が主体で、富国強兵を国が示す。第2のエンジンは民間がこのようにもうけているというもの。愛・地球博で第3のエンジンをつけようとした。それが市民参加。どう点火したらいいか、本当に飛んでいくのか心配だったが、うまく飛んでいった。

(佐藤)愛・地球博の精神を引き継がないといけないということで誘致したのがCOP10。涌井先生に尽力していただき、「里山イニシアティブ」が国際語になった。
(涌井)COP9に誘致活動に行ったら、どうぞやってくださいと言われた。先進国と発展途上国が真っ向から対立しており、失敗することが分かっていたから。開発と保護の間にひとつの考え方ができないかというのが「里山イニシアティブ」だった。日本には、人が自然に関わることで生物多様性を豊かにしているという現実がある。それが里山、水田。これが発展途上国を大きく動かした。

(涌井)愛・地球博、COP10をどう名古屋のこれからにつなげていくのか。その大きな柱が東山の再生と名古屋城。東山の再生に涌井先生のお力をいただいた。
(涌井)東山は絶滅危惧種の繁殖に貢献しているとともに、はげ山を森にした。「エコロジカルネットワーク」という言葉があり、まとまりのある自然があるところを「コア」、その周辺を「バッファー」と言い、人と自然が共生するためには、廊下みたいにつながっていることが大事。名古屋城は生物多様性のコアになり、バッファーになるという重要な効果があり、エコロジカルネットワークを充実させる一番大きな拠点となる。

(佐藤)自然との共生だけではなく、名古屋城は400年の文化、風土、歴史をとらえていき、東山は再生、絶滅危惧種といった二本柱で取り組んでいる。まちづくりでこれらの資産をどう活かしていくのがいいのか。
(涌井)お茶や能は名古屋の独自のものであり、名古屋には独特の個性がある。名古屋が培ってきた価値は多様性。これをどのようにまちに展開するのか。これからは人口が減るので、「まちづくり」ではなく「まちのこし」。どうやってまちを残すのかが重要だと思う。

(佐藤)まちおこしのベースは、住んで良し、訪れて良しだと思う。
(涌井)名古屋の良さは多様性。異質なものを排除しないのが名古屋の精神。パチンコのように誰も発想しなかったものをつくる。多様性、サブカルチャーといった爆発的エネルギーを爆発させてほしい。

(涌井)日本人は公式なものと非公式なものを背中合わせにつくる。本丸御殿や二之丸庭園の整備といった床の間を整えるだけではなく、お座敷を楽しくしないといけない。それはしないのか。
(佐藤)金シャチ横丁(仮称)の構想を進めている。「ハレ」と「ケ」があるが、名古屋は「ケ」の場面がない。かつての三之丸は武家屋敷、商店街があったが、官庁街になっている。名古屋城を基点として広がりをつくっていきたいというのが、金シャチ横丁(仮称)の理念。「ケ」の舞台を整備していきたい。
(涌井)「いなす」ためには住み分けること。駅前はオフィス、名古屋城周辺は400年の伝統を背景にしたサブカルチャーだというやり方をしないといけない。名古屋の人はごちゃごちゃになるのが好き。ごちゃごちゃこそが名古屋のエネルギーだと思うので、そのような空間をつくってほしい。

アンケートの結果

〈名古屋城プレミアムトークステージについて〉

(1)名古屋城プレミアムトークステージの開催について何で知りましたか

(2)内容はどうでしたか

〈現在の名古屋城について〉

(1)名古屋城に最後に来られたのはいつですか

(2)何に興味がありますか

(3)一番期待することは何ですか

〈参加者について〉

(1)居住地

(2)性別

(3)年齢

●今後の名古屋城に期待すること

・お堀(内堀)に水があると外側から見ても美しいものとなると思う。
・地下鉄の駅名を「市役所駅」ではなく、「名古屋城駅」とするか、県庁のように名古屋城とカッコで追記してはどうか。
・文化の伝承として、御殿や庭園復元は大事なことだと思う。
・広い敷地があるので、名古屋の名所や観光スポットを多く情報発信してほしい。
・人の集まるような広報、情報発信をもっと多くすべきである。
・お堀の雑草が多すぎるので、手入れしてほしい。
・中国、韓国もさることながらASEAN地域の観光客を誘致してはどうか。また、その際には、英語ガイドの充実を図られたい。
・小中学生の歴史を学ぶ場にしてみてはどうか。その為に、小中学生の見学を組織的に運営し、夏休みに集中講座を開催するとか工夫してはどうか。
・名古屋城についての検討や行催事には、名古屋城検定上級合格者を参加させて欲しい。
・石垣の補修、多聞櫓と桝形門の復元をして欲しい。
・本丸御殿の完成を期待し、「世界の金シャチ横丁(仮称)」の計画もさらに推進して欲しい。
・案内板や方向案内がわかりにくいので、わかりやすくした方がよい。
・関ヶ原の合戦から徳川幕府の終焉まで歴史のパノラマ展示をビジュアルで展示すると、子供でも外国の方でも理解しやすいと思う。文字の説明が多いと感じた。
・人を集めるポイントとして、日本人の興味だけではなく、外国の方にも興味がわく形を作り上げて欲しい。
・パンフレットを手にして歩くだけだとよく理解できないので、天守閣内にもガイドさんがいて欲しい。
・例えば石垣の積み方や石垣普請を担った大名の名前など、石垣についても説明案内が欲しい。
・木かげにベンチをたくさん置いてほしい。
・市民が意見交換できる場を設け、明日の名古屋城を話し合ってはどうか。
・二之丸庭園の修復は名古屋城をより魅力あるものにすると思う。
・天守閣の木造復元より、東北隅櫓、表一之門、東一之門、多聞櫓の復元を優先してほしい。

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